男性が家事に不慣れで、日本の家事クオリティが高すぎる
その上で、専業主婦世帯で育った男性の多くは、子どもの頃に家事を教えてもらっていなかったりします。ある時期までは、中学・高校での家庭科の授業は男子と女子では違う内容でした。結果として、ある世代の男性は家事の経験が少ないか、得意ではない傾向があります。
また、日本の家事のクオリティは非常に高いです。特に育児のクオリティは凄いんですけれど(やりすぎと言えるぐらいなんですけど)、それはTOFUFUのメインの読者ではないので置いておいて、まず、料理のクオリティが高すぎます。
味は当然、見た目も、種類も高いクオリティが求められます。アメリカドラマの朝食シーンだと手作りなのはほとんどなかったりしませんか? アジア圏だと食事は基本外食だったりしますよね? 朝晩を高いクオリティで自炊することが求められるのは日本ぐらいじゃないでしょうか。
掃除も頻繁にするし、洗濯も服ごとに気を使ってる。そして、家計管理もしっかりしているから貯蓄できている家庭が多い。家事を習得する機会が少なかった男性が、結婚後に、物凄くハイレベルな日本の家事をやるというのはかなり難易度が高いことです。学ぶ機会があった人にとってだってハードルが高いのが日本の家事です。
必要なのは『感謝』と『手抜き』
そういうわけで、私は、家事分担が上手く回らない理由に、夫側に一方的に問題があるとは思っていません。構造上しかたのない部分がある。だからといって、妻ばかりが家事を負担するのが当然とも思いません。フェアではない。
では、どうするか。日本の労働環境が忙しすぎて、女性の賃金が上がりにくいという構造自体は簡単に変わらないとしても、個人でできることはあります。どうしたら、家事分担で不平不満が生まれないようにできるのか。
まずは、お互いに相手が家事をしてくれるに「ありがとう」と感謝を伝えることですね。「ここまで偉そうなことを書いてきてそんなことか!」と拍子抜けされちゃうかもしれないですけど、これ、凄く大事なことですから。
毎日当たり前のようにやられていることは、なかなか感謝されなくて、やりがいを失いがちなんですよね。お互いに時間がない中で家事をしているのですから、自分だけが大変で、相手は家事をやって当然と思うのではなく「ありがとう」と常に言い合うことが大切。
あとは家事のクオリティを下げること。言ってしまえば手抜きです。
時間がないのは分かっているのだから、クオリティを維持しなくてもいいんです。掃除もそれほど頻繁じゃなくていいし、料理も適度に外食や惣菜や冷凍食品で済ませる。安価であれば外部に任せるでもいいし、食器洗浄機やルンバなど文明の利器を使うのもいい。
「私たちには無理だよね?」と確認し合って、可能な限り自分たちの手を動かして行う家事のクオリティを下げましょう。
とにかく、相手が悪いと思わないことですね。お互いに悪意を向けるのではなく「ほんと、こんな働き方って嫌だよね」と憎悪は日本社会に向けましょう。せっかく好きあって結婚した夫婦なんだから、家事ごときで喧嘩するなんてつまらない。お互い感謝しつつ、お互い合意できるところまでクオリティを下げましょう。
…と、ここまで書いたところで、
・夫婦で家事のクオリティが違うのはどうすれば?
・家事ハラを避けるにはどうしたいいのか?
・家事の分担とお金の分担は反比例するべきものか?
・外注化、家事代行サービスはありか?
この個別のお悩みを見直したところ、必ずしも回答がしきれていないものがあることに気付きました。というわけで、次回は、どうやって家事分担をするか、具体的なノウハウを紹介したいと思います。
Text/斗比主閲子
※2016年9月28日に「TOFUFU」で掲載しました。
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