世界の中心はあくまで私

そしてもう一つの魅力。エグ美は「早く偉くなりたい」と言うのだ。この言葉も、か弱さから遠い。クソ大馬鹿者の私は今まで、上昇志向を口にするとモテないんじゃないかと思っておりました…。でも、どうやらそんなことないらしい。恋愛以外にも頑張っていることがきちんとあるっていうのは、たぶんモテにとって凄く大切なことだ。

誰だって、自分がいきなり他人の生活の中心になるのは怖い。好いてくれるのは嬉しいけれど、知り合って数ヶ月で自分の存在が誰かの人生の真ん中になるのはちょっとしんどいはずだ。たぶん、数々の始まりたての恋に終止符を打ってきた台詞「重い」の正体はこれで、「恋人だからって人生をそこまで預けないでよ…」っていう困惑は、モテの邪魔をする。

その点、エグ美の「早く偉くなりたい」は100万点の台詞なのだ。エグ美にとって、恋愛だけが人生の目的ではないことが、この台詞から容易に想像できる。仕事を大切にしている人にとって、人生の目的の中には仕事での成功も含まれているということを、初めから理解してくれている人間であることはかなり得点が高いはずだ。

おまけに、お互いに自立した大人としてお付き合いをできそうな心強さもある。「あなたがいないと生きていけない…」みたいなタイプが好きな人もいるだろうけど、冷静に考えて今世界ヤバイじゃん？　だからたぶん、これからは自分一人でもしっかり立てる人がモテる気がするの。エグ美はマジで最先端。「私は仕事が好き。もっと偉くなりたい。だから頑張るけど、一緒に走る？」この爽やかさ…しかもなんか、エグ美と一緒にいれば、今までより仕事も頑張れそうな気がする…人生がうまくいく感じがする…

悪口エグ美先生のここがスゴイ！

こうして私はエグ美から新たなモテの方法を学んだのでした。以下、要点をまとめます。

〜悪口エグ美のモテスキル〜

悪口エグ美とは知り合って10年くらい経ちますが、10年間で彼女に恋人がいなかった時期はほんの数ヶ月でした。しかもその数ヶ月も、キープが3人いるっていう…強すぎだろ。是非、真似してみてください。きっとあなたも強くなります。ただし、人の悪口を肩幅から言い始めるのはやめような。

TEXT／長井短

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舞台やテレビドラマ、映画、ラジオ、雑誌、バラエティ番組など幅広く活躍する長井短さんの本連載が書籍化！

恋愛、モテ、マウンティング等のテーマについて綴ったコラムはもちろん、単行本の特別企画として完全撮り下ろし写真、ページを切り取って作る「ミニ本」、なつかしのプロフィール帳なども用意されている楽しい一冊です。