同じ恋愛問題で、もめている男女がいたとします。ひとりの弁護士が平等に男側、女側にそれぞれアドバイスをするとしたら一体どうなる?
■相談1
関口卓也さん(仮名28歳/会社員)
「俺、ワンナイトなんてしてないんだけど」
「コーメイさん、助けてほしいんですけど…。知らない女から突然、電話がかかってきて、1年前にあなたの子供を産んだから、養ってほしい、慰謝料をよこせと言われて。その女いわく、俺がバーでナンパしてワンナイトしたらしいんだ。そんなの全く覚えてないんだ。どうすればいい?」
■コーメイ弁護士の回答
「連絡取らずに逃げ回れ」
僕はあくまで紳士なので、念のため確認します。
本当に身に覚えのない話ということで間違いない?
誓って間違いないね? よし。
それでは依頼者の正義のために対処法を伝授します。 今すぐその女性からの番号を着信拒否しちゃおう。次に、急いでケータイショップに走りケータイを解約。これで,連絡が来なくなったら万事解決。 …単純すぎる? これだけでは顰蹙をかってしまうよね。
では、その後についてもきちんと説明します。まず、ケータイを新しく持つときは、MNP制度を利用せず、新規契約にすること。番号が割れてしまっていると、女性側に弁護士がついていれば、住所・氏名・引落し口座までも探知される可能性が高い。
もし、住所と氏名を把握されてしまい、ラブレターやらスパムメールやら玄関先の待ち伏せやらで女性が話し合おうとしてきても、断固拒否で。ただ、女性が情熱的な人で、勝手に家の中に入られたり、家の周囲で金切り声を出すなどの感情表現をされることも想定される。その場合は,すぐさま110番しよう。今や誰もが知っている、警察の「民事不介入の原則」。だけど、現に実害がある場合は躊躇する必要なんてない。堂々と公権力に追い払ってもらおう。こういうときのために税金を日々納めているのだから。
さて、もちろん女性側にも公権力に頼る権利はある。ここで裁判所が登場です。 女性側が裁判所に泣きついた場合、裁判所から、調停に出頭するよう君に呼出状が届くことになる。
調停は、複数回、全て平日の日中にのみ行われるから、君が社会人ならまず出席は厳しいでしょう。そこで、弁護士を立てるのであれば、あとは先生、お任せします。引継は後ほど先生にしておきますので。
さて、ここからも全て自分で対処したい場合だけれど、やっぱりシカトが得策なんだよね。 裁判の基本として、訴える側が事実か否かを証明しなければならない。聞くところによれば、全く身に覚えのない逢瀬、しかも、女性は、1年前に1度だけ逢ったと主張しているのでしょう? 立証は果てしなく厳しいものになると思わない? もちろん、DNA鑑定をされれば、一発で白黒つくと思うけどさ、それも拒否すれば良いと思う。裁判所が君を鑑定しろという強制的な命令を出す可能性? あるよ。でも、それもシカトだね。現実的な運用として、君の元にある日突然、どやどや人がやってきて、君をさらって、真っ白で何もない部屋に閉じ込め…という状況はありえません。
もちろん、過去、女性にこっそり髪を採取されていたらオシマイだ。だから、どの段階を通じても、女性側との接触は極力避けた方が良いんだよ。
結論。 仮に、1万歩ほど譲って、ワンナイトしたのだとしても、それだけで一生金がかかる人間を一人養い続けなければならないのは厳しいし、そんな世界で恋愛なんぞする気しないよね。 だから、正しい対処法を身につけておこう。姑息な悪知恵? いやいや、権利の実現だよ。