日常の生活が幸せで包まれる『楽しいこといっぱい65』

 「ていねいにお茶をいれたり、つぼみをつけた庭の花をそっと見守ったり、お気に入りのジーンズにスニーカーで散歩したり。
振り返れば、そこに小さな幸せがあるのです」。著者である料理研究家の栗原はるみさんは、冒頭でこう綴っています。

 本書は、今年65歳の誕生日を迎えた栗原さんが、今までの人生を振り返り、日常に花を添えてきた「楽しくて」「愛しくて」「ワクワクする」65個の物事が詰まった一冊。

 表紙にもなっている「りんごの絵」。これは栗原さんが高校を卒業したころに描いたもの。
彼女は今でも、この絵を見つめていると好きなことに打ち込んでいる自分を垣間見て幸せな気持ちになるのだとか。
そのほかにも、母親の手伝いで行っていた「ぞうきんがけ」や10年ほど前から履きだした「ジーンズ」。
ちょっと小腹が空いたときにつまんでいる「小さなおせんべい」など、日常に潜む楽しいことが、温かみのある写真とともに紹介されています。

 印象的なのは、夫で元キャスターの栗原玲児さんとの思い出の数々です。
2人が結婚25年を迎えたときに購入した「夫婦揃いの箸」。
子供が独立し再び夫婦2人の生活が始まることを記念して、「2人で暮らせることの幸せを確かめながら生きていきたい」という思いが込められているそうです。
「夫の送り迎え」も栗原さんの楽しいことの1つ。
どんなに仕事で忙しくなろうとも玲児さんが出かける時、帰宅の時の見送りと出迎えは欠かしたことがない栗原さん。
「夫と妻、男と女として向き合うこれからの日々を大切にしていきたい」と書いています。

 この本を読むと、楽しいことは日常に生まれるほんの些細なことや、当たり前に使っている物、愛しい誰かに向けた「おはよう」や「おやすみ」だと気付きます。
実はあなたをいつも取り囲んでいた、楽しいことを見つけてみてください。きっと幸せな気持ちになれるから。

書名:『楽しいこといっぱい65』
著者:栗原はるみ
発行:扶桑社
価格:¥1,680(税込)

Text/Yuuko Ujiie