覚悟を決めた人は美しい
本作の夫婦像は理想的な部分とそうでない部分があります。いかんせん、妻は自らの病状を夫に伏せたまま亡くなっています。残される側からすれば、最後の別れくらい、別離と覚悟して感謝を述べたかったかもしれません。
とは言っても、妻は「もう長くない」と死ぬ覚悟を持って、愛する夫をケアするために全力で死後の準備をしていくわけです。信頼できる周囲の人の助けも借りて。
自らの残された時間が僅かだと知ったら、人によってはショックで寝込んでしまい、余計に余命が縮まってしまうもの。
こういう時、覚悟を決めた人の行動力は本当に凄まじく見事であると改めて痛感させられます。それは死という覚悟でなくても同じでしょう。覚悟を決めた人は美しいです。
2015「愛を積むひと」製作委員会
本作では「死ぬ覚悟」「生む覚悟」「愛する覚悟」「受け入れる覚悟」「許す覚悟」など様々な覚悟が描かれます。そして、それぞれの登場人物が覚悟を決めてから、とても美しく光り輝いています。
生きている中で覚悟を決めなくてはならないターニングポイントは必ず訪れるもの。
人生は全て思うようにはいかないかもしれませんが、覚悟を決める時は決めて、後悔のないように、余命の長さに関わらず「人生を全うしたい」ものですね。
6/20(土)全国ロードショー
監督:朝原雄三
キャスト:佐藤浩市、樋口可南子、北川景子、野村周平、杉咲花
配給:アスミック・エース、松竹
2015年/125分
URL:映画『愛を積むひと』公式サイト
Text/柳下修平