恋愛は「文化」「趣味」と割り切るべき
湯山: というのも私、更年期が終わりかけてて、実のところ性欲もだんだんなくなってきてるんだけど、どうやって男の気を引くか、どういうデートをして落とすか、どう甘えるか、みたいな面倒くさい「恋愛文化」がこうなるといとおしい物になってきた(笑)。でも、それは決してアイデンティティの支えにするようなものじゃないんですよ。
二村: それこそ、男がバイクやサッカーにはまるのと同じで、すごく外部化された「趣味」なんですね。
湯山: そう非常に遊戯的なね。まあ、真面目でない恋愛ですかね(笑)。
二村: 「遊び」というとすごくふまじめに聞こえてしまうけど、恋愛やセックスというものを、自分の人生に喜びを与えるジューシーな楽しみとして確保しておこう、ということですよね。幸せや快感を感じるために恋愛をしているはずなのに、恋愛ですごく傷ついたり苦しんだりしてしまうのって、なぜなんでしょう?
湯山: それは、恋愛が彼女のアイデンティティだからでしょ。
二村: 男の場合は、前回も話した“インチキ自己肯定”ができるからまだいいんですよ。
女にフラれたり、うまくいかなくて傷ついても、「女なんか…」とか言って、お金を稼いだり、地位や名誉を得たり、社会的に自己実現のために努力することで、とりあえずの自己肯定感を得られるんですね。
湯山: 女性もインチキ自己肯定ぐらいのテクは持っていた方がいいのに。
ろくでもない男に恋をすると、テクどころか盲目的に献身しちゃう。だめんず好きな女って多いじゃない。
二村: そう、まさにそれについて書いたのが二冊目の『恋とセックスで幸せになる秘密』(イースト・プレス)という本なんです。なんで女はだめんずにはまってしまうのか、どうして恋愛で傷ついてしまうのか。
湯山: それもこれも、女性が男性に比べて自己肯定感を持ちづらいようにできているからだよね。
二村: そこに気付いて自覚できるだけでも、女性は恋愛に無用な苦しみを抱かずに済むんじゃないかと思っているんですよ。
Text/福田フクスケ
湯山玲子
著述家。出版、広告の分野でクリエイティブ・ディレクター、プランナー、プロデューサーとして活動。著作に『ベルばら手帳 マンガの金字塔をオトナ読み!』(マガジンハウス)、『女ひとり寿司』(幻冬舎文庫)、『クラブカルチャー!』(毎日新聞出版局)、『女装する女』(新潮新書)、『四十路越え!』(ワニブックス)など。月一回のペースで、クラシック音楽をクラブ仕様で爆音で聴く「爆クラ」を主宰。
(画像右:『快楽上等! 3.11以降を生きる』/著者:上野千鶴子、湯山玲子/発行:幻冬舎/価格:1,575円)
二村ヒトシ
アダルトビデオ監督。MotheRs・美少年出版社・欲望解放・レズれ!という4つのAVレーベルを主宰するほか、ムーディーズ、エスワンなどからも監督作を発売。また、ソフト・オン・デマンド制作部門であるSODクリエイト社の顧問(若手監督への「エロとは何か」指導を担当)にも就任。
公式サイト:nimurahitoshi.net
twitter:@nimurahitoshi/@love_sex_bot
(画像右:『すべてはモテるためである』/著者:二村ヒトシ/発行:イースト・プレス/文庫ぎんが堂/価格:700円)(画像左:『恋とセックスで幸せになる秘密』/著者:二村ヒトシ/発行:イースト・プレス/価格:1,260円)
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