渋谷は諦めるしかないのか?
ここまで来ると渋谷は諦めざるを得なくなるのだが、何しろ馴染みの店が多過ぎて、それらの店に顔を出さないのも申し訳ない。しかも、店のいくつかにはエロをした従業員もいてその店に行くとアイコンタクトで「今度また飲もうねー」といった仕草をされる。彼女とは、店が終わるまで残り、後片付けを手伝った後にサシ飲みをし、午前1時からホテルに行く、なんてこともあった。
かくして渋谷から離れるのもつらい、という『若きウェルテルの悩み』の低レベルアホエロ版的状況になってしまった。しかし、仕事相手から目撃されまくる状況というのは本来ビジネスパーソンとしては異常なわけで、僕はエロに発展しそうな飲み会の際は、別のエリアを目指すことにした。
僕が神保町を選んだ理由
それは神保町である。食事のおいしい優良店が多く、古くからの出版文化・古本文化が根付いた街だ。エロ前の雰囲気としては最高である。しかし、神保町にラブホテルはとんと見当たらない。なのになぜ選ぶのか。
それは、ラブホテル街を有する湯島が近いからである。渋滞することなくタクシーでサッサと湯島まで行くことが可能。渋谷から離れているため、知人に目撃される恐れはない。お相手だって湯島で知人から見られることはないだろう。
正直、男女のエロ行為などはたから見ていたら滑稽なものが多いのだが、当事者は裏でこのように真剣に場所選びから仕事への支障も含め、考え抜いたうえで決断をし続けているのである。
Text/中川淳一郎
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