渋谷のラブホ街は諦めるしかない?知人にバレない飲み屋エリア/中川淳一郎

仕事をする場所がラブホテル街に近いと、時に厄介なことになる。僕は元々東京・渋谷の複数の会社と一緒に仕事をしていた。そのため頻繁に渋谷へ行き、打ち合わせの帰りに渋谷の居酒屋で女性とサシ飲みをし、そのまま円山町のラブホテルへレッツゴー! なんてこともあった。

何しろ、居酒屋で二人とも燃え上がってしまい、「えぇい、オレみたいな地味な顔をした人間、誰も気づかないだろう!」と謎の自信をもって若干うつむき加減ながらも彼女と一緒にホテルに入っていった。

しかし、打ち合わせをすると、相手が苦笑しながら「ニノミヤさん、先日ロングヘアーの美女とローソンの近くのラブホに入ってる姿をウチの部下が見たと私に報告してきましたよ。まぁ、ウチの社員じゃなかったから構いませんが、少し気を付けてくださいね(笑)。一応あの道、ウチの社員もよく通ってますんで」なんてことも言うようになった。

バレないように講じた小賢しい策

こちらはうつむいて見られないようにしているものの、風貌やリュックなどから容易に僕と特定できるようだった。さすがにコレはマズいので、渋谷で飲む時にホテルへ行く雰囲気になったら山手線で一駅の恵比寿までタクシーで行くことにしたのだが、いかんせん恵比寿駅近くにはラブホテルが2軒しかない。満室であることが多く、結局渋谷まで戻るのだ。

となれば、その後も円山町へ行くしかないのだが、この時は小賢しい策を講じた。彼女と時間差でホテルに入ることである。一人で入ったら仮に見られたとしても、「とにかく疲れたので2時間寝たかった」と言えばいいと思った。当時の僕は激務だということを同社社員も知っていたため、この言い分は通用するのではないか。

しかし、この言い分はまったく通用しなかった。やはり目撃者は登場するわけで、一人でホテルに入る僕を見て「ニノミヤさんはデリヘルにハマっているらしい」ということになってしまったのだ!