打算でいくなら、苦しみを抱えて生きていく覚悟を

冒頭でもお話ししましたが、結婚相手によい条件を求めることは決して悪いことではありません。「この人が好き」という自分の感情よりも、家柄や収入、家事スペックを重要視したっていいのです。
結婚相手として相応しい条件かどうかを重要視して結婚した先に、恋の熱情はなくとも相手を思いやる気持ちが徐々に育まれることだってあります。
恋愛感情を導入として結婚した場合、付き合いたてに感じたドキドキはやがて愛情に変わっていくのでしょうが、好きという気持ちだけで乗り越えられないこと、好きだという気持ちを大義名分にしてわざわざ乗り越えなくたっていいことがあるのも事実です。
でも、やっぱりわたしは夫が好きだからこそ様々な問題を乗り越えられる実感があるということは、お伝えしておきたいのです。

夫婦のあり方は思いがけないかたちに変化する可能性があるため、条件と感情のどちらかだけにしなくてはいけないという極端な状況に陥ってしまうことは考えにくいですが、少なくとも現時点で掲げている条件が反古にされたとき、あなたはどう立ち回るかというのは頭に入れておく必要があると思います。
あなたが幼馴染の彼は結婚相手として好条件だと捉えている、相手をこれから知っていく過程でかかる時間や労力をスキップできること、彼氏がいるのを承知で待っていてくれること、親御さんが大賛成していることは、男性として好きだという感情が全くない状態でも結婚していいと思えるほど価値のあるものなのか、というのはよく考えたほうがいいのではないでしょうか。

言葉の端々から、幼馴染の彼との結婚に気持ちが傾いていて、そのための後押しを欲しているのが読み取れます。幸せな結婚生活を送るためにより好条件な相手を、と考えるのは打算的だと批判されるものではないと重ねてお伝えてしていますが、他の部分でずるい人だなぁ、と。
幼馴染の彼に告白されたことで男性として意識してしまうようになった、というならわかります。でも、あなたの場合はそうではない。
幼馴染の彼からの「結婚を前提としたお付き合いを~」という言葉に対する、「結婚したいけれど難しいと思う」とずいぶん他人事に聞こえる返答には、「え? あなたも幼馴染の彼と結婚したかったの?! どういうこと?!」とびっくりして思わず声を上げてしまいました。

なにより、「今の彼氏とたくさん遊んでたくさん思い出を作って、それを今後の1番好きだった人との幸せだった時の煌めきとして持っておいて幼馴染と結婚するのが良いのではないか」という言い分に関してはわたしの理解の範疇を越えています。
幼馴染と結婚すると決めたのなら、今お付き合いしている彼とはさっさと別れるべきです。というか、そんな風に上手くいくのでしょうか。計画性があるのは結構ですが、そこに感情のコントロールまで組み込むのは浅はか過ぎやしませんか?
今付き合っている彼と別れるのが苦しい、彼を好きだという気持ちを昇華させられる自信がないとすでに思っている時点で、あなたは条件だけを考慮して結婚するのに向いていないと思いますよ。

幼馴染の彼は男性として好きじゃないけれどこれ以上好条件の人は現れないだろうから結婚する、そのために大好きな彼とは別れるまでの期間あらかじめ思い出をたくさんつくっておく、それを一時の煌めきとして胸に留めて幼馴染の彼との結婚生活を送る、綺麗に別れたあとは感情をきちんと昇華させる……なんてなにもかも上手になんてできっこありませんし、あなたは多くを求めすぎているように見えます。

自分のことを打算的でずるいと自覚しているのなら、それに伴って生じる苦しみを抱えて生きていく覚悟はしておかないといけません。

今の状態のまま、周り(親御さんや幼馴染の彼)の意見になんとなく流されて、高を括って人生を決断したらいつかきっと足元を掬われてしまいます。幼馴染の彼が一番の理解者だから、きっと彼ほど好条件の人とは出会えないから、親も大賛成だから、と根拠というには乏しいふんわりとした空気に飲み込まれずに、打算的になるならなるでもっと現実的かつ長期的な目線で数多の可能性を羅列して、地に足をつけて踏ん張って、自分の頭でよーく考えて腹を決めることをおすすめします。
理想とする条件、自分が置かれている環境、これまで積み重ねてきた周囲との関係性など、様々な事情はあるでしょう。でもね、そんなもの自分の気持ち・覚悟・直感とは比ぶべくもないのです。

Text/ものすごい愛
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