恋愛や結婚は、最強の人間関係

 その授業は、大学一年生、主に18歳の学生30数名に向かって、私の著書『世界婚活』についての話や、大学卒業をして社会に出てかからの体験等、先輩の立場から勝手に色んなアドバイスをさせてもらうものでした。

 私ばかりがしゃべっていてもつまらないので、最初は全員に自己紹介をしてもらおうと思ったのですが、教授によると「慣れてない子が多いので時間が膨大にかかるよ」とのこと。
ならば、と授業の合間に名前リストから生徒を指名して、質問や意見を言ってもらう作戦に変更しました。

 すると……。
名前を指名し、こちらから質問をしているにも関わらず、返答がくるのに2分も3分も辛抱強く待たないといけませんでした。

 実際は2、3分でも、感覚としては10分以上待っているような長さを感じました。
生徒さんら皆、モジモジしているのです。

 私が生徒の席に座って授業を受けていたのは、もう15年以上も前の話。
あの頃、私も彼、彼女らのように「自分の意見を言う」ことは、恥ずかしかったし、とても勇気のいることだったのを覚えています。
まあ、だからしょうがないよなぁ、と思いながら、彼らの声が聞こえてくるのをじっと待ちました。

 私が「恋愛」「結婚」の話をすると、これまた特別反応が悪かったです。
特に、男子からは「まだ恋愛したことがないから分からない」「これから先も自分に恋愛ができると思えない」という、随分消極的な意見が出ました。

 それでも、彼らは、顔を赤らめながらも、精一杯本当の気持ちを話してくれていたのだと思います。

 授業を終え、生徒全員から感想レポートを頂きました。
すると、授業では聞かれなかった強烈な意見もチラホラと見られたのです。

「世界的に見ると日本人男性はダメかもしれないけど、世界で活躍している日本人男性だっています!」とか、「僕は、世界に出て外国人の彼女を作りたいと思っている」等々。

 なーんだ、反抗心を持ってる熱い男子も中にはいるんだな、とひと安心。
でもやっぱり「僕は一生恋愛できないと思います」という、自分の人生における恋愛の可能性を否定してかかる意見も少なくありませんでした。

 これが、10年、20年経ったとき、今は自信のない彼らが過去を振り返った時、「そんな若い時期もあったなぁ」と笑えることがあるのだろうか? いや、もしかしたら、本当に恋愛をできないまま30歳、40歳になる人もいるのかな、とも思います。

 恋愛や結婚って、人のこと、そして自分のことを考える、最強の人間関係。

 結婚をするのにも、婚活をしないと結婚できない今、今後は「恋愛の仕方」を教える授業がなきゃ、結婚以前に恋愛できない若者が増えていく気がしてしまった貴重な経験なのでした。

Text/中村綾花