相手も被害者だと思っている可能性

なんなら、わたしは彼のモラハラの被害者だったのではないかと思うし、だから「逃げ出してよかった」という気持ちしかない。しかし、よくよく思い出してみれば、逃げ出そうとしたときには罪悪感を感じ、彼に「俺を捨てるのか」「酷い」と散々責められたことで、自分は加害者だと思っていた気がするのです。

そういうことを考えると、被害者であるか、加害者であるかなんて、リバーシブルである。そして相手への攻撃を正当化する材料にするために、ついつい被害者ポジションを取るということをしがちだけど、相手が「被害者は自分」だと思っていることもよくあることで、こちらが被害者だと主張すると、相手側は当然のこと猛反発する。そういう不毛な争いを避けるためには「自分が被害者だと思っていても、相手もまた、被害者だと思っている可能性」というものを頭に置いておいてもいいのではないかと思ったのでした。

そして蛇足ながら最後に付け加えておくと、リリーフランキー氏の原稿の件、興奮して誰かに報告したくなる話だっていうこと、わかる人には、わかっていただける話ではないかと……。

Text/大泉りか