「痴漢」の話題にわき出る悪意あるキャプチャ

何かをきっかけに「痴漢」がネット上で話題になると、悪意のある人がテレビか何かのキャプチャを提示してくることがある。女性専用車について利用者の女性にインタビューをしているもので、「痴漢防止になると思う」「男性がいないと安心」などと答える中年女性たちのあとに、「私は特にどこでもいいです」と答える若い女性の映像を置いたものだ。性被害はブスの妄想であり、また性に積極的な、ちせちゃんのような女性が訴えていいものでもない。今は様々な状況が変わりつつあるけれど、女性は長く、この二重の抑圧を受けてきたのだなと感じる。

『きりこについて』は、自分の容姿に対する絶対評価を取り戻す物語であり、また容姿にもファッションにも性に積極的か否かかも関係なく、自分の欲望に正直でいていいこと、不当な被害や抑圧ははねのけていいことを教えてくれる物語でもある。

おそらく自分の容姿については多かれ少なかれ一生思い悩むのだろうけど、少なくとも、すべての女性が不当な抑圧から解放されることを、私は願っている。