反撃された男は…

気の弱そうな男なだけにまさか反撃されるとは思ってなかったのだろう。イチモツを僕の尻から放し、反対側を向いた。そして、次の高円寺で降りたのである。一体コレがなんだったのか考えたのだが、恐らく僕には「同好の士オーラ」的なものがあったのかもしれない。だからその後僕の手をヤツのイチモツに誘導し、上下運動をさせることができる、とも感じたのかもしれない。

或いは女性が対象の痴漢行為の場合、「気の弱そうな女性を狙った」などの供述があるわけで、僕のことを弱気な男だと読んだのかもしれない。会社に行ってこの話を先輩社員にしたら、「オレも同じような経験があるよ。オレの場合は埼京線だ」と言われた。

まぁ、僕のような男だからあの勃起野郎を睨むことができたのだが、女性だったら恐ろしくてできないかもしれない。さらには白い液体をかけられてしまう恐れもあるわけだ。今回の深夜バスの件でネットでは対策に関する意見が多数書き込まれており、防犯ベルを各席につけたり、席のカーテンが開いてもトイレへ行かない場合は運転士がその席を確認する、といった案が出された。

在来線にも防犯カメラが義務付けられたが、2023年6月27日に読売オンラインに掲載された記事タイトルは「鉄道車両の防犯カメラ、7割は録画機能のみ…逮捕覚悟の容疑者への効果は限定的」だった。今回はエロい話というよりは、エロい変態に注意を、という話である。

Text/中川淳一郎