「腐臭漂うアピール」の源流はプロフサイト!?
─オンラインを意識し始めた96、7年代後半から00年代にかけての変化については大きくは変わらず、微妙にカタチを変え続けているといった感じでしょうか?
宮台:少しラグ(遅れ)がありまして、売春少女たちは自分のプライバシーに敏感だったので、96年という早い時期から自己情報管理に慎重になりましたが、一般人に限っていえば、2002年あたりが分水嶺だと思います。
データを紹介すると、2002年頃から携帯電話の世帯普及率が半分を超え、同時にテレビの視聴時間が急速に減少しはじめますが、これは〈可処分時間問題〉で、メールやウェブ閲覧を含めて携帯電話の使用時間が長くなった分、テレビや漫画や雑誌が圧迫されはじめたんです。
事実、プロフサイトが小中学生に広がったのもこの頃からですが、それを含めて、援交中高生に限らず、援交とは無関係なパンピー(一般人)までもが自己情報制御に敏感になりはじめたんですね。今日のネットでの「腐臭漂うアピール」の源流がそこにあると思います。
〈フォロワー化現象〉つまりユーザーレベルの低下と、〈プロフサイト化現象〉つまり自己情報制御の困難化とが、重なることで、全体としてコミュニケーションの〈疑心暗鬼化〉が進みました。これは今日の日本におけるコミュニケーションの、特徴的なモードです。
【続く】
次回は、「ネットの危険は【匿名性】ではなく、【疑心暗鬼化】」をお届けします。
第1回の記事はこちら→宮台真司インタビュー「自分はイケてるぞアピールからは腐臭がただよう…“見るに耐えない”コミュニケーション 」
第2回の記事はこちら→宮台真司インタビュー「クソアピールをやめることができないクレージークレーマー層の“認められていない”感」
宮台さんの格言はこちら→社会学者・宮台真司さんが考える「ブスとは…」
Text/AM編集部
- 1
- 2