平成のビッチがビッチになった訳
突然にセンターに躍り出て、すいません。
平成のビッチ、舘そらみは、真面目な家で育った。幼少期を海外で暮らした影響もあり、快活で物怖じしない性格。でも、恋愛で爆走できたかというとそうでもない。
中学で初体験をしたり高校のクラスメイトと付き合ったり社会人と付き合ったりするも、“そこまでうまくいくわけでもない”の普通の感じで、青春時代を過ごした。性感覚が変わったのは、21歳の時。
「旅先で、たまたまのタイミングで、初対面の人とヤッたんだよね、それが私にとって革命的だった。全く知らない人と、ただ“セックスしよう”の一点だけで信頼しあい優しくしあえる、そして名前も知らず別れて行く。その損得勘定ない素直さに、心奪われた」
それ以降、平成ビッチは知らない人との行為を、彼氏とのセックスとは違うものとして楽しむようになる。
その楽しさの質は、あみちゃんのように肉体的快感を満喫するのとは違い、セックスを巡る人間のコミュニケーションを楽しむもの。人数にしてもあみちゃんの10分の1以下だ。あみちゃんと私は、あみちゃんのことを「体ビッチ」、私のことを「人ビッチ」と名付けた。ビッチにも、特徴があるようだ。
でもここに集った2人のビッチは、付き合ってなかろうが、素性を知らなかろうが、したい人としたい時にすることが好き、という点が共通している。
せっかくだからビッチ2人で、よく議題にされることを話してみた。ここで文体も変わる。
Q.奔放セックス、特に好きな理由は?
あみ「セックスは、誰としても全部気持ちいいのは大前提なんですけど、付き合ってる人だと色々気になって、実はイキにくいっていうのはあります。知らない人の方が、ただ純粋に没頭できて、お互いにどんどん性癖さらけ出して、自由になれるかもですね」
そらみ「ああ、知らないからこそ、性癖も弱さも驚くほどオープンにしあえるってあるよね。後腐れないからこそ、真剣に人生相談しあったりする(笑)。」
あみ「体ビッチ的にも、アナル舐めたいけど、彼氏のアナルは舐められないですもん。そういう、尊さ、あります」
Q.失うものって、ある?
2人「………」
あみ「ない‥‥」
そらみ「よく聞かれるけどないんだよなあ。傷ついたこともない。あみちゃんほどの人でもないんだ?」
あみ「ほんとないです」
そらみ「どちらかが我慢してヤッてるとかだと、傷つくと思う。でも両者が同意の上でヤリましょうってなってる時って、すごく相手も優しくなってくれし尊重してくれるっていうか」
あみ「そうなんですよね、セックスを前にしたら、大体の人間は素敵になる」
そらみ「なんなら、日常の方が”私のことモノとして見てるな”と思う瞬間全然ある気がする。もちろん、同意のセックスの場合だけどね、同意の上では、ヤバい人に会ったことない」
あみ「私もないです。全然、ないです」
Q.記憶に残ってるセックスは?
あみ「ありすぎて、ちょっと考えます(笑)。」
そらみ「考えて(笑)。私はそうだなー、人ビッチだから、記憶に残ってるのは行為部分じゃないんだけど。ある時、名前も知らない人の家に行った時、壁に”毎日腹筋50回!”って貼ってあったのね。遊び慣れた感じを全身から出しといて、毎日腹筋50回を自分に課してるのか、と。なんか、あまりの人間らしさに愛おしさがマックスになった。こういう瞬間が記憶に残る」
あみ「人ビッチらしい」
そらみ「全然行為面じゃない」
あみ「私も、この前、六本木で出会ったサラリーマンを誘ったら、気づいたら千葉の一番奥にあるその人の家に居て。”ここはどこ? どうやって帰るの?”状態で、そういうの最高に楽しいですよね」
そらみ「あはは、そういうのとんでもなく楽しいよね」
あみ「トータル、記憶に残るセックスは、予想を超えてきた場合だと思うんですよ。セックスほど、先を予想できないことない」
そらみ「それだけしてても予想できないって、面白いなあ」
あみ「そうそう。ちなみに、セックスの時って、相手の何に注目してますか? 私はもちろんちんこなんですけど……」
そらみ「え、ちんこ一切気にしてない‥‥相手の吐息に注目してるかな……」
倫理的に、ダメじゃない?
そらみ「きっとこれ大きいよね。あみちゃんは気にしてなさそうだけど、初めからなかった?」
あみ「なかったですね……貞操観念みたいなものもなくて……未だに、何でダメなのかわかんないですもん。何でドンドンヤッたらダメなんですか?」
そらみ「それに明確に答えられる人はなかなか居ないかも。私は、元々は、まああった。”もしもよくわからない人として傷ついたらどうしよう”の不安が貞操観念のフリをしてた。でも、傷つかないって知ったし、そしたら、貞操観念自体よく分からなくなったなあ」
あみ「そうなんですよね!」
そらみ「自分の心を大事に、っていうのはすごく分かるの。でも自分の体を大事に、はよく分からない。別にヤることが大事にしないことだとも思わないけどな。というか、自分の心を大事にした結果、行動してるだけ」
あみ「ほんとそうなんです。とにかく気持ちよくて好きなこと、我慢する必要が分からない。だって、セックスはめちゃめちゃ楽しいですよ?」