一段楽ついた2人は銭湯へ
我々は銭湯へ行き、40分後に番台前で待ち合わせることを約束した。久々の風呂、しかも大きな湯舟は気持ちよく、この4日間の激務を振り返りつつも至福の時間を過ごせていた。
銭湯を出たら上気した我々は近くの焼き鳥屋に行き、生ビールで乾杯した。
「うひゃーっ! やっと一段落つきましたね!」
「完全に力業でなんとかしましたね」
「あそこでヒロコさんが『一緒にやろう』って提案してくれたから終わりました」
「いえいえ、ニノミヤさんが場所を提供してくれたからです」
結局、この晩もヒロコさんは我が家に泊まることになった。どちらにせよ、特集ページを一緒に作ったのだからまだ修正段階で情報共有はした方がいいし、彼女の家はここから1時間以上かかる。
そして家に着いたとき、僕は自然とこう言ってしまった。
「ヒロコさん、ヤろうよ」
「えっ?? だ、だって私たち、仕事仲間でしょ?」
「いや、もうこうなったらヤろう」
何が「こうなったら」なのだかは分からないが、2人してとんでもない激務の4日間を過ごしたのだから、こうでもしなくては収まりがつかなかったのだ。おかしな理屈だが、このとき、僕はもう頭がおかしくなっていた。
「でも、ニノミヤさんまだ22でしょ? 私なんてもう30のおばさんよ?」
「でも、美人ですよ。エロしたいです」
「そう……」
ヒロコさんはこう言うとスパッと全裸になり、ベッドの上のTシャツ・短パン姿の僕に抱きついてきてキスをしてきた。舌を入れてきてグルングルンと回し右手は僕のパンツの中に入れて完全勃起したアソコをいじり始めた。続いて推定Eカップの胸を僕の顔面に押し付ける。
ここで僕も全裸になり、その後はもうこの4日間の鬱憤を晴らすかのように2人して唾液の交換をし、互いの性器を舐め合い、そして挿入。22歳の若い男から生み出される精液の量は膨大で、結局この晩は5回もエロをしてしまった。
翌日は朝8時には作業を開始しなくてはならないものの、「4時間半寝れば大丈夫」という信念のもと、3時半までの間に5回ヤッたのだった。そして翌朝、再び編集者が最終確認に来る前は妙なニオイがないように換気をし、アロマオイルを焚いた。
前日に「クサい」と指摘した編集者は「あら、今日はクサくないわね」と言い、こちらを見てニヤリと笑った。さすがは女の勘。多分、我々がエロをしたことはバレたのだろう。
無事に校了し、この過酷な仕事は終わったが、ヒロコさんと僕が決めたのは「もうあの編集部、そしてデザイン事務所の仕事はしない」ということだ。
なんだかよく分からないままヒロコさんと出会い、そして怒涛の5日間を過ごして以後会うこともなかった彼女。そんなヒロコさんから18年ぶりに「記事見たよ」というメールが届いた。多分、エロを1度でもするとその男(女)は特別な関係になるのだろう。今回のメールでそう気づいたのだった。
Text/中川淳一郎
- 1
- 2