間男道というものは
時間もないことだし、と2回戦を開始し、だいぶ少なくなった精液を出し尽くすと僕らは風呂へ。「髪の毛洗わないんですか?」と聞いたら「ニノミヤさんと同じにおいのシャンプーだと勘のいい人は気付くでしょ? それに女は髪の毛を乾かしたりするのが大変なので、今晩ホテルに戻ってからでいいの」と言った。
そしてライブ会場近くで偶然会ったかのように装いライブへ行き、飲み会に行った。その晩も泊っていく? と聞かれたが、さすがに一人で予約しているホテルに2人で泊まるのも申し訳ないので、そこは丁重に断った。
翌日吉田さんは地元に戻っていったが、以来、この仲間が東京で会う場合は僕が吉田さんの部屋に集合少し前に行くのが恒例になった。彼女は出張も多いのだが、人妻の彼女はもしかしたら全国各地に「現地間男」がいるのかもしれない。何しろ誘い方が手馴れているのだ。それはまぁ、気にならない。間男道というものは、相手を疑うことと、嫉妬することはご法度なのである。そして僕は彼女がまた東京に来る日を待ち続けるのであった。
Text/中川淳一郎
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