連載に書かれて喜んだ女性

それは決して相手の女性ではなく、「工夫」を生み出してくれた張本人だ。この工夫とは、セックスの最中に極力男くさい映像を想像し、興奮度合を低める、という脳内における想像力のフル活用である。昔、雑誌の編集をしていたとき、著名人の似顔絵を女性イラストレーターのMさんに頼んでいた。

287kgあったという巨漢力士・小錦の全身イラストがあったのだが、コレが実に男くさく、このイラストを思い出すだけで興奮度合を下げる効果があることに、気付いた。男の早漏対策は人それぞれだろうが、僕の場合はとにかく「少しでも射精の気配が見えたらMさんが描いた小錦のイラストを思い出す」という技を開発。事実この技は効果的で、一旦7合目まで上がってしまった射精的兆候を5合目まで下げてくれる効果があるのだ。再び7合目まで来たらまたこのイラストを思い出し、5.2合目ぐらいまで下げる。かくして長時間挿入が可能となり、相手女性からは「3回イッた」などと言ってもらえるのである。

「本当にイッたんですか?」と聞いたら「あなたこんな一緒にいて分からないの?」と呆れられることもあった。

悲恋のセックスはそう多くない

また、複数回登場した女性にも「これ、私のことでしょ!」と言われてしまったことがあるが、「今度また出すときは言うように」と言われ、2回目の登場時に伝えたら「あら、丁寧にありがとう」と言ってもらえた。

週刊新潮の連載『黒い報告書』は、ドロドロの男女の関係から濃厚なエロ描写が開始し、最後はどちらかが相手を殺してしまったり逮捕されたりする展開がお約束だ。実際に起きた事件をベースにした創作のため、こうなるのだが、当連載は基本的には「酔っ払った男女がノリでヤッてしまった」になるので、『黒い報告書』的世界観は絶対に出ない。

しかし、そのようなセックスこそが現実であり、映画や小説で登場するドラマチックだったり「悲恋」のセックスというのは案外多くないのでは、と84回の「ニノミヤ活動報告記」を終えての感想である。

Text/中川淳一郎