ここまで来たら誘うしかない

この戯れを7回ほどやった後のとある金曜日の夜、京子さんから電話があった。「まだ会社?」「はい、そうです」「今日一緒にご飯食べない?」――というやり取りを経て、下北沢の串焼き屋へ。

ここまで来たらこちらからホテルへ誘うしかあるまい。会計終了後、いつも通り、外に出ると手を握り合ったところで僕は「京子さん、今日、一緒に泊まりませんか?」と誘った。「いいわよ。私もそう言おうと思ってた」。

かくして彼女とは下北沢に2軒あるラブホテルの「大きい方」へ行き、朝まで5回のセックスをすることになる。彼女とはそれから何百回もやることになるが、初回まで互いにじらされたからあれだけ多くやったのでは、と思っていた。なお、彼女にはその間、本命の彼氏がいた。そして後に「結婚したよ」というメールが来て、以後我々は飲み友達に戻ったのであった。

Text/中川淳一郎