「いい子じゃなくていい」
- 菊池
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あとアルテイシアさんが特徴的なのは、早い段階で「親が間違ってる」と気づけていたところですよね。
- アル
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振り返っても、「親の言うことを聞かなきゃ」と思ったことが1回もないんですよ。
- 菊池
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それがすごくて(笑)、なんででしょうね?
- アル
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性格だと思います。そこは夫も似ていて、うちの義母が「あの子は子どもの頃から、親の言うことを一度も聞いたことがなかった」と言ってて。言うこと聞かないから、電信柱に縛りつけたりしてたらしいんですね。
- 菊池
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コラムで読みました。旦那さん、縄抜けとかしてたんでしょ(笑)
- アル
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そうそう。忍者の縄抜けをして、高い木の上から「ザマーミロ!!」と叫んでたらしいけど、その辺が似てるなと。
- 菊池
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そこが似てるってすごいですよね(笑)
- アル
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私も勉強しないと母親がブチギレるから、イヤイヤやってましたね。中学受験するときも、母親に「あなたのためだから」と言われて「嘘つけ、自分の見栄のためだろ」と思ってました。
- 菊池
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そんな初期から親の欺瞞に気づけていたんですよね。
- アル
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:幼稚園から「将来は医者になれ」と言われ続けて「やなこった」と思ってました。小学校の文集には「将来はアガサ・クリスティみたいなミステリー作家になる」と書いてます。
- 菊池
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作家になる夢を叶えてる(笑)
- アル
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ミステリーは1ミリもかすってないけど(笑)。やっぱり「親の期待に応えなきゃ」という、素直ないい子が苦労しますよね。
- 菊池
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「いい子・悪い子」というか、あれですよね。「性格の強さ」をもともと持ってる人とそうじゃない人とでは、やっぱり出方が違いますよね。
- アル
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私は昔から反抗心が強かったんです。母親に対して「ふざけんなクソババア!」とずっと思っていて。夫は今でも「クソババア」って言ってるけど(笑)
- 菊池
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(笑) 『毒親サバイバル』の中でも、早くから「クソババア」と言えた人もいました。そういう人は、わりと早めに親から離れたりできますよね。
- アル
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そう、だからすごく切ないし理不尽だなと思う。「クソババアなんて言ったら可哀想」「私がお母さんの夢を叶えなきゃ」という優しいいい子が、親から離れられずに苦しむから。真面目な優等生だった女友達も「今さら反抗の仕方がわからない」と悩んでます。
- 菊池
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やっぱり持って生まれた性格なんですかね。育てられ方とかではなく。
- アル
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性格が大きいと思います。兄弟姉妹でも、赤ん坊の時から性格が違うと言うじゃないですか。
- 菊池
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うんうん、言いますよね。
- アル
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うちの義母は、小学生の息子を整形しようとしたらしいんですよ。「ブサイクやったら困るやないの! あんたのためやで!」みたいな。頭おかしいですよね(笑)
- 菊池
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それはだいぶ(笑)
- アル
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母親はそんなだし、父親は酒乱でDVだし、『きみが心に棲みついた』のサイコパス野郎みたいな環境だけど、夫は「整形したかったらお前がしろや!」と返したそうです。実際、義母は整形してるんですけど。
- 菊池
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整形してるんだ(笑)
- アル
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あと義母が「ピアノ習いなさい! ピアノ弾けたらええやないの!」と迫ったときも「じゃあお前が習えや!」と返したそうです。正しいですよね。
- 担当ハタノ
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正しいですね。価値観の押しつけにちゃんと反抗できてる。
- 菊池
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それってやっぱり、持って生まれた性格の強さとか気質があると思うんですよ。それこそ親に整形しろと言われて、整形依存症になってる女の子もいるじゃないですか、すごく傷ついちゃって。だから、持って生まれた性格は運だと思うので……。
- アル
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親を選べないのと同じで、運ですよね。
- 菊池
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そうそう。その運がない状態で、大人しいいい子に生まれちゃった子が、どうすればそっち側に行けるんだろう? どうすれば強い人に変われるのかな? と思っていて。
- アル
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私は「いい子じゃなくていいんだよ」というのを、ずっと言っていきたいと思ってます。
- 菊池
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うんうん。アルテイシアさんとかがそれを教えてくれてるのが、すごくいいなと思ってます。