夫の考えたリベンジ
このたび、デビュー作『59番目のプロポーズ』が電子書籍化された。
夫との出会いから結婚までを綴ったこの作品、是非とも読んでいただけるとありがたいが、私自身は恥ずかしくて読み返せない。
シャイな露出狂のような言い分で恐縮だが、たとえば中二の時に自分が書いた「私は龍神の一族の血を引く娘…」から始まるファンタジー小説を読むと「うわらば!!」と断末魔をあげて破裂するだろう。
『59番目のプロポーズ』は29歳の時に書いたノンフィクションだが、言うてることは中二っぽいし、今とだいぶ考え方が違う部分もあるし、なんかキャリア女子ぶっててイタいし、とにかく恥ずかしいのだ。
だが、あの作品を読んでファンになってくれた読者は多い。「中二の時に読んで、今は社会人です!」とか言うてくれる娘さんもいて「立派にお育ちになられてミネバ様…」と涙ぐみそうになる。
そんな『59番目のプロポーズ』で反響が大きかったのは、アニマルパニックの話だった。
夫と付き合いたての頃、私の部屋で2人で寝ていた時のこと。
朝「…ヤツの夢を見た」と私は目を覚ました。ヤツとは我がメンがヘラる原因となった、地獄のような失恋をしたクリエイターのT氏である。
夢の中で、私はひさしぶりにT氏に再会する。
そこはパーティー会場のような場所で、私は笑顔で彼に挨拶して、握手を求めた…次の瞬間、手首を極めてバキッとへし折る!
絶叫するT氏、高笑いする私。
というなかなかに胸のすく夢だったのだが、その話を夫にすると「それだと傷害罪になるので、別の方法で復讐した方がいい」と提案された。
そこで「じゃあオススメの復讐方法を考えてくれ」と紙とペンを渡して、私は朝風呂に入った。そして風呂から上がると、以下のリベンジ作戦が紙に書かれていた。