「我が子から性的なものを切り離したい」でも完全シャットアウトも横暴か

子どもを産んで生まれた感情のひとつが「我が子から性的なものを、切り離したい」というものです。今回の都知事選でも、例のポスターが子どもの目に入る通学路などにあるのは非常識であると物議を醸しだしておりましたが、わたし自身も子どもがエッチなものをエッチと認識するようになってからは、半裸の女性が載っている週刊誌などは目につくところに置かないよう気を付けるようになった。エロ漫画とか官能小説とかが本棚に並んでいるわたしの仕事部屋も、基本的には立ち入り禁止にしている。

一方では、ちょっとだけエッチなもの、例えば裸の女性がモチーフとして描かれている画集だとか、被写体の女性が裸の写真集なんかの、いわゆるポルノではないけれど、性的な表現があるものはリビングルームの棚の上のほうにあえて置いてあって、椅子を持ってくるなりして努力をすれば取れようにしているし、わたしの部屋にも鍵はかけていない。というのも、わたし自身が子どもの頃、夏休みに訪れた親戚の家で、叔父の無修正のエロ本をこっそり眺めては、ドキドキしていた記憶があるからで、子どもが成長の過程で性的なものに興味を持った時に、わたしの気持ちを優先してすべてシャットアウトするのは横暴ではないかとも思う。だから、我が家は、子どもがどうしてもそれを欲すればアクセスできる環境にしてあるのです。

ショタエロアニメを直視できるか

そんな、「子を性的なものに触れさせたくないという気持ち」vs「子どもにだって性的な欲望は当然あって然るべき」がせめぎ合っているわたしですが、つい先日、なんの因果かショタエロアニメのイベントの司会を任されることとなりました。2006年に世界初のショタアニメとして、ナチュラルハイというAVメーカーからリリースされた『シリーズぴこ』の二番目の作品『ぴことちこ』のイベントです。エロメン俳優の向理来さん、フランクフルト林さん、漫画家のチンズリーナ先生が登壇のメンバーで、イベントプロデューサーは三代目葵マリーさん。向さんと林さんがその場で『ぴことちこ』のアフレコをするとともに、わたしとチンズリーナ先生が考えた『ぴことちこ』のサイドストーリーをステージ上で演じてくれるのが、イベントの目玉です。

というわけで、イベントに向けて事前に『ぴことちこ』を観ようと思ったのですが、しかしここにわたしの葛藤がある。少年ふたりがセックスをする映像を果たして直視できるのか、ということです。フィクションだってわかっていても、つい息子を重ね合わせてしまって、嫌悪感とまではいかずとも、少年の性欲を目の当たりにするのは、どうにも居た堪れない気持ちになりそうな。が、観ないわけにもいかない。意を決して再生ボタンを押しました。