人間は不完全なものに惹かれる生き物

一方でセックスは、恥ずかしい姿のオンパレードです。まず、全裸って時点でかなり恥ずかしい! 平常時、ゼニアのスーツを着こなしているようなビジネスマンでも、フルチン姿になるとカッコつきません。

またフェラチオでは、嗅覚及び味覚部門で「恥ずかしいニオイ」や「恥ずかしい味」が垣間見えることとなります。直前にシャワーを浴びていようとも、ガマン汁が滴ることによって「イカ臭い」と呼ばれるニオイ及びしょっぱい味が発生。平常時、ドルチェ&ガッバーナの香水で身だしなみを整え、ワインの香りにウンチクを垂れているような男性でも、フェラチオ中はカッコつきません。

そして射精直前から射精に至るまでの「イキそう」「イッていい?」「イクよ」「イク!」という一連の流れも、理性が吹っ飛んだ本能丸出しの恥ずかしい一面が垣間見えます。平常時、どれだけクールを気取っているような男性でも、射精時はカッコつきません。

これらの「恥ずかしい姿」が毎度のセックスで垣間見えることにより、どんどん愛着が湧いてゆくのでしょう。人間とは、不完全なものに惹かれる生き物ですから。恥ずかしい面も持っている、その不完全さが愛おしいのでしょう。

さらには、恥ずかしい姿を曝け出してくれていることにも、優越感が湧いてきます。「職場の同僚や友人知人が垣間見ることのできないフルチン姿やイカ臭や射精時のアヘ顔を、私は知っているのだ!」と。

これぞ、セックス前は大してすきじゃなかったとしても、回数を重ねることで好きになっていく理由なのでしょう。そして乙女たちは、セフレ沼へとズブズブはまってゆくのでしょう。なんだか消化不良な結末でスイマセン……。でも、残念ながらそういうことなのだと思います。

Text/菊池美佳子