本書は、日本ではあまり名が知られていない1940年代から70年代にかけてアメリカで活躍した、数奇な“最低で最高の”人生を送った女性たちの生き様をコレクションした一冊です。
成功者ではないけれど、決して負け組ではない彼女たちの人生とは?
たとえば、テキスタイルデザイナー、フローレンス・ブロードハーストの場合。
大胆なデザインの壁紙で知られる著名な大物デザイナーです。
実は彼女は自分を英国の名家生まれだと偽り、年齢は二十歳ごまかし、人のデザインをどんどん使ってのしあがりました。
そして最後にはいまだ未解決の殺人事件へと巻き込まれてしまいます。
また、あの『ティファニーで朝食を』のモデルとなったコラムニスト、メーヴ・ブレナン。
彼女は『ニューヨーカー』で一風変わったコラム「とりとめのないおしゃべりレディ」を連載していて独自の地位を築きました。
しかし、彼女は不倫を重ね、そしてその神経質で頑固な人柄から段々と孤独になり、行動は常軌を逸していく…。
そのほか、アーティストたちを次々と虜にした美しい貴族、キャロライン・ブラッドウッド。
死ぬまで男装を貫いたジャズピアニスト、ビリー・ティプトン。
バーレスクの女王、キャンディ・バー…。総勢20人の女性の壮絶な人生の物語を知ることができます。
平凡な幸せを決して選択せず、成功と自由そして、強い愛を求めた女性たち。
彼女らの人生は時に孤独で、時に恥知らず、そして見栄や嘘で塗り固められていました。だけど、その人生はあまりにも面白く、イノセント。
書名:『イノセント・ガールズ~20人の最低で最高の人生~』
著者:山崎まどか
発行:アスペクト
価格:1680円
Text/AM編集部