Reading alone Ed Yourdon
1970年の大阪万博のシンボル「太陽の塔」の制作者であり、「芸術は爆発だ」「職業は人間です」等のインパクトのある名言を残し、日本において最もよく知られる芸術家の1人である岡本太郎さん。2011年は生誕100周年で数々のイベントが行われました。
今もなお廃れることなく、美術界に君臨し続ける岡本太朗の作品たち。それは彼の芸術に対するエネルギッシュで奇抜な思想、そして岡本太朗そのものの魅力が人々を惹きつけてやまないからではないでしょうか。
岡本太郎を生前、そして死後も支え続けてきたのは、戸籍上の養女で、実質上はパートナーであり、妻であった敏子さんです。敏子さんは岡本太郎の死後、未完成の作品の仕上げに監修としてかかわり、アトリエを美術館として改装。岡本記念館の館長も務められました。岡本太郎の業績がさらに評価されるようになったのは敏子さんの働きが大きいともいわれています。
本書は、敏子さんが岡本太郎との日々を小説という形で残した愛の物語。岡本太郎にあたる人物はフランス帰りの建築家、羽田謙介。謙介に魅せられた活け花の師範助手、笙子はある日、謙介に呼び出されまるで強姦のような初夜を迎えます──。
官能的な描写は、あの瀬戸内寂聴さんも驚いたほど。そして、セックスの場面に関しては全て事実を書いているのだとか。
敏子さんが77歳のときに書いた小説デビュー作。愛する太郎さんに捧げた一冊です。あなたも、この究極の愛の形に触れてみてはいかがでしょうか。
Reading alone Ed Yourdon
書名:『奇跡』
著者: 岡本敏子
発行:集英社
価格:¥1,575(税込)
Text/Yuuko Ujiie