八代亜紀がかわいいってことは、年齢じゃない
雨宮:「年相応じゃない痛い人と思われるのが怖い」って思ってたらできないんだろうけど、私は「もうどう思われても知るか!」っていう気分もあります。
トミヤマ:組織で働く人とかは、周囲の目もあるし、「関係ない枠」には入りづらいですかね。私たちはフリーランスだから比較的ハードル低いのかも…。
雨宮:田舎だとご近所の目とかありますしね。
うちのおばあちゃんとか、マリメッコの赤いバッグ欲しそうなんだけど、「こんなの持ったら、いよいよボケだと思われるから持てない」とか言ってます。
トミヤマ:えー!マリメッコでもダメ?でも、狭いコミュニティで変な人だと思われたらやりづらいのも事実ですよね。
あと、見た目とか年齢のことを気にしていると、気にしてるオーラが出ちゃうっていうのはある気がします。私は30過ぎたから、もう35だから、とか常に考えてると…。
雨宮:それを言われると、自分より年上の人がムカッとくるのがよくわかったの。「私もう29だから」「はぁん!それが!?」っていう感じになるから、もう言うまいと思って(笑)
たぶん若い時のほうが、失われていくものに対して敏感なんですよね。だから、大したことないことでもすごく気になるんだと思う。
最近、私は八代亜紀が…かわいいと思うんですよね。
八代亜紀がかわいいってことは、年齢じゃないんですよ。
八代亜紀がかわいいって、もう革命じゃん。年齢まったく無関係でしょ。
そういう革命体験があると、年齢がすべてじゃないと思えるし、革命を起こした八代亜紀さんという人への尊敬の気持ちも出てくる。
年上の人で好きになれる人や、憧れられる人が全然いなかったら、辛いかもしれないですね。
トミヤマ:そうかもしれないです。
雨宮:もちろん八代亜紀さんになれるかって言われたらなれないんだけど、自分より年上で楽しそうな人とか、常識を軽々かるがると超えてる人を見ると、なれるとかなれないとかに関わらず、希望が見えてくるし、届かなくても少しはあんな感じになりたいな、と思える気がする。
トミヤマ:そうかも。すてきな年上の友達がいなくて、日常的に会ってる年上といえば上司と両親だけ、みたいな場合は、いい感じの未来を想像するのは難しいかも。
雨宮:そうですね!
トミヤマ:普通に会社と家の往復で一日が終わってしまう人にとっては、年上の友達を新しく作るっていうのは難しいですよね。
特に女の人って結婚を機に仕事をやめちゃったりするから、イキイキしていてステキな年上の人はますます見つけにくいのかもしれないなぁ。
でも、リアル友達じゃなくても、それこそ八代亜紀でもいいから、年上のステキな人をたくさん見て知っておくことが大事ですよね。
雨宮:あとは自分の見たことを信じることも大事だと思います。
例えば、お局さんが会社にいたとして、男性社員からは「終わってんなー」とか言われていても、自分が見たその人に素敵なところがあったら、そっちを信じた方がいいと思うんですよね。
バイト先とか職場で、自分より年上の女性が「結婚しないで仕事ばっかやってて楽しいのかね~」とか言われてるの、さんざん聞いてきたけど、私から見たらそういう女性は、仕事ができておしゃれで、仕事以外に自分の楽しみも持ってる、単に素敵な人だった。
そういう言葉を聞くとショックを受けることも多いけど、真に受けないほうがいいと思う。
そんな言葉で自分の人生が揺るぐことなんて絶対ないし、そもそも親身になってないからこそ言える言葉なんだから、しょせん外野の言葉なんですよね。
トミヤマ:ネガティブな言葉ってどうしても心に響きやすいですよね。ポジティブな言葉より記憶に残りやすい。
雨宮:「私も同じことしたら、同じこと言われるんだ」ってってすごく心に刻まれちゃうでしょ。
トミヤマ:30過ぎたらおばさんだって○○さんが言ってたから、私ももうおばさんなんだ、辛い、みたいな。その価値観が全てになってしまうと危ないですね。
雨宮:あれにだけは屈しちゃダメだよ! もう、非暴力非服従! ガンジーばりに(笑)
殴っちゃダメだけど、その言葉には屈しちゃいけない。耳に入ったとしても、そういう価値観には服従しない。
トミヤマ:ネガティブな言葉は心に残りやすいぶん、自分で積極的に漂白するというか、掃除をして追い出すようにしないと。
雨宮:ネットとかでも目に入ってきちゃうじゃないですか。
発言小町でも、おしゃれしてる母親に対して「年相応の服装をした方がいいんじゃないですか」、「正直痛いお母さんだと思われていると思います」、とか言われてるのいっぱい見えますけど(笑)
それにも不服従を貫き通しましょう!
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