生まれながらに背負った業

「おじさん好きなんですよ~、トヨエツとか」と言われても説得力がないが、「鈴木宗男とか」と言われたら「ホンモノやな」と思う。

 同様に、真の熟女好きは「熟女好きなんですよ~、石田ゆり子とか」とは言わないものだ。

 熟女マニアの男性のブログを読んだら「“とてもそんな年には見えない美魔女”に用はない、俺たちが好きなのは“どう見てもそんな年に見えるおばさん”なのだ!」とキッパリ宣言していた。

 アルテイシアの熟女入門という連載で、次のように書いた

「AV界には熟女を越えた、老女モノというジャンルがある。70代の女優さんが出演する『祖母と孫』『うちのお婆ちゃん』等のシリーズも出ている。この手の作品を好む人々は、おばあちゃん子だったのだろうか。シャアは“母なる者”を求めたが、“婆なる者”は母よりもっと無条件に受容してくれそうだ」

 このように、人はわかりやすい理由を欲しがる。だが実際は理由などないのかもしれない。

 担当アサシン嬢はかつてエロ本の編集部で働いていて、その職場には生粋の熟女好きが高じて、熟女専門のエロ本の編集長になった人物がいたらしい。“天職”の例文になりそうな人物だ。

 その編集長に「なんでそんなに熟女が好きなんですか?」と聞くと「理由を説明できたら、本当の“好き”じゃないんだよ…」と返されたという。

 実にハードボイルドだ。北方謙三のように「ソープに行け!熟女専門の」と言われたら、勇んで出発しそうになる。

 アサシン嬢は「その言葉を聞いて、性癖も好みも理由があるとは限らないのかも、と思いました」とおっしゃる。

 続けて「私の中では性癖って“生まれながらに背負った業”説が濃厚です。というのも私はエロ本時代にスカトロ担当だったのですが、スカトロって相手を探すのが困難な性癖だし、前世の宿罪を今世で贖(あがな)ってるというか」。

 前世の宿罪を今世で贖う。壮大な話になってきたが、前世の宿罪とは何だろうか。ボットン便所に放火したとかだろうか。

 食事中に吐いている方がいたら陳謝する。気づくとウェディングのサイトでもマリアージュの連載でもウンコの話をしている私だが、これも一種の性癖なのか。

 好みや性癖が世間から見て普通じゃなくても、他人に迷惑さえかけなければいいだろう。そして「他人がどう思おうが、自分は○○が好き」という生き方を選べることが幸せだろう。

 それに難癖をつける人がいたら「フンコロガシに食われるがよい」と呪詛を唱えよう。

 ちなみに、フンコロガシは自分の体重の千倍以上の糞を転がすことができるらしい。

 私もフンコロガシ先輩のように、強くなりたい。

※2017年12月12日に「TOFUFU」で掲載しました。

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