―少し話が戻りますが、そもそもテレクラにお電話したときはどういう理由からだったんですか?

雨宮:そのときは……性欲ですね(笑)。
恋愛っていうのは自分はうまくやれないなぁ…という感覚がすごく強かったので、性欲だけでも満たしたいと(笑)。
あと、女性としての自信がなくて、そういう自分がとても嫌だったんです。
そういう時に、ボンデージ、SM系の女性がすごく素敵に見えたんです。性に対して振り切れていて、自分の欲望に正直な女性ってかっこいいとか思って、いきなりそこに憧れたんですよ。

―ハードルが一気にあがりましたね。

雨宮:そう。普通に考えたらハードル高すぎなんですけど、そのときの自分にとってはSMよりも、恋愛の方がハードルが高いんです。
恋愛の方がずっと難しくて、欲望に正直になる方がまだ簡単なように思えてた。

―なぜ簡単に思えたんでしょう?

雨宮:欲望は、自分の意思だけでできることだったからですかね。
たとえば、「裸になって縛られたい」とか「荒木経惟さんに写真撮られたい」、とかだったら自分ひとりの決断で、自分さえ思い切ればできる。
そういうの募集してるところがあったし。
でも恋愛は、相手の気持ちがこっちに向かないとできないから、それは自分にはコントロールすることができない。
恋愛よりも性的なことの方がまだ開花できる可能性がある! ってそのときは思ったんでしょうね。「この道を極めれば、なんか変われるんじゃないか」と。

 セックスを経験することで、さばけた女性になれれば、女性としての余裕もできるだろうし、魅力も花開いてくれるんじゃないかって。
だいぶ曲がりくねった考え方ですけど、それで興味をもってテレクラのSM回線に電話して、SMの話とか聞いてちょっと通ぶった気持ちになって、「私ちょっと人よりSMのこと知ってるから」みたいな(笑)。
しょうもない優越感持ってましたね。

 集中すると、ひとつの道に突き進もうとする行動力はそこそこあるんですよ。
ただ、それがいつも間違ったところにスイッチが入ってしまって……。
まっすぐに恋愛のスイッチ入れればよかったのに、そこは「無理」だと思っているから、ほかのスイッチを手当たり次第にONにしていっているような状態ですね。