百合に走ったのは、本当に欲しいものから目をそらすため?             

By mathewingram By Ryan Abel

 こうした「満腹ゼリー女」の傾向は、多忙きわまるNERV本部に入って、ますますこじれてしまいます。

 憧れの加持さんが手に入らないジレンマ。
「私には仕事があるから、今はこれでいいの」と自分を納得させようとしますが、満たされない気持ちは変わりません。

 一時期は、冴えない同僚のメガネ男子・日向マコトでもいいかな……と思ったときもあったでしょう。
しかし、マヤのような女性は、私だけの王子様を夢見るロマンティックなタイプかと思わせておいて、実際は意外と権力志向だったりします。
高校時代、どうでもいいレフトと付き合ってしまった苦い経験から、彼女のプライドは妥協を許さなかったのかもしれません。

 そこで彼女は、もうひとりの“尊敬できる先輩”であるリツコに、百合的な敬愛を抱くようになります。
代わりのものでお腹をいっぱいにすることで、本当に欲しいものから目をそらすことにしたわけです。

 しかし、自分をだますのにも限界があります。
テレビ版の第11話では、エレベーターの中でもつれあっていた加持とミサトを見て、「不潔……」と思わず本音をもらしてしまう場面も。
物語の終盤で、徐々に彼女の精神的なもろさが浮き彫りになってしまうのも、自分の本当の気持ちにウソをついて、“かりそめの満腹”を得ていた反動かもしれません。

 あなたも、満たされない自分を、無理やり他のもので満足させようとしていませんか?
満足度を下げることで、伊吹マヤのような“かわいそうなサブキャラ”にならないように気を付けてください。
あなたの人生のメインキャラは、あなた自身なのですから……!

Text/Fukusuke Fukuda

※登場人物の恋愛関係については、テレビ版・旧劇場版に描かれたものを参考にしています。
 まだ完結していない新劇場版では、関係性が異なっていたり、明示されていなかったりするのでご了承ください。