自分にとっての幸せが何か分かっている人は、生きやすい

──周囲からの横槍に負けず、人生を進んでいくにはどうするのがいいですか?

中村自分の幸せなんて他人が決定することじゃない、そこだけはわかってほしいです。
他人からの横槍っていうのは、たいてい「あなたのためを思って言ってる」とか言うんだけど、もしそのアドバイスに従って私が失敗しても、占い師と同じで絶対にその人は責任とらないじゃないですか。

 言い逃げっていうかさ、アドバイスするだけして逃げちゃうみたいなね。
「こうしたらどう?」みたいな提案を友達から受けるのは悪くないと思うんだけど、「こうしなさい」とか「こうすべきだ」とか他人の言う通りにしても、失敗したときに災難が降りかかってくるのは自分じゃん。
 
──そうなったら、人の言う通りにしなきゃよかったってなるだけですよね。

中村:だから、自分にとって何が幸せかってことをわかっている人は、ある意味生きやすいと思う。そうなると、世間から落ちこぼれと言われようが、自分の好きなことやって生きているのがいいってわかってるんで、べつに商社とか入って出世している人が羨ましくもないだろうし。

 迷ってもぜんぜんいいんだけど、ある時期、これで生きよう! みたいに思っちゃえば、ものすごく楽になる。そして、他人が言うことをどこまで真に受けるべきかっていうのも、はっきりしてくると思う。そうなったらこっちの勝ちなんですよね。
 
 ただ、それが理由でハブられたり、いじめられたりしましたって言われても、私は、どうしていいのかわからない。

 会社ではいい顔して、プライベートは自分の好きなように生きるみたいな、そういう使い分けがいいのかもしれない。会社ではそういう会社の顔をしておく、みたいな。

 仕事は仕事でお金をもらっているから、割り切って周囲と合わせることは必要なのかもしれないけど、プライベートでは好きなことをして、自分の幸せはここだってものをみつけていけば、横槍は気にならないんじゃないかな。

(文/渋谷チカ)

中村うさぎ
1958年生まれ。福岡県出身。同志社大学英文科卒業後、OL、コピーライター、ゲーム誌のライターを経て、1991年にライトノベル作家としてデビュー。『ゴクドーくん漫遊記』がベストセラーになる。
その後、自身の壮絶な買い物依存症を赤裸々に綴ったエッセイシリーズで大ブレイク。
以降も、ホストクラブ通い、美容整形、デリヘル嬢体験を通じた、女の生き方や女の自意識に関する著述で多くの支持を集め続ける。