あなたは“選ばれる対象”と同時に“選ぶ主体”でもある

鳥飼茜 30代からの恋愛 鳥飼茜さん

――30代は、「若い子がいい」という世間の規範や目線を引きずって、一番自尊心を削られやすい時期なんですね。

鳥飼 すごく嫌な言い方ですけど、自分を若さや容姿といった“商品価値”ではかるのは本当によくないです。自分が“選ばれる対象”でしかないと無意識に思っていると、どんどん卑屈になって自信を失う一方ですよ。自分も“選ぶ主体”だと思っていいんです。

以前ある対談で読んだんですけど、東村アキコ先生は、中華料理屋さんとかで気になった男性店員がいると「何時に終わるの? 飲みに行こうよ」って自分から声をかけるそうで、それって超かっこいいなって思ったんですよ。

自分も相手を選べるし、いくつになっても自分から気になった人に声をかけていいし、それで振られるかどうかはそのときのタイミング。「自分は好きな人に好きと言う権利がある」と思うだけで、すごくラクになる気がします。

――好きな人と一対一の関係になってからも、自分は“選ぶ主体”だっていう意識は大切ですよね。

鳥飼 そう、「選んでもらった」という意識でいると、それって付き合ってからも続くから。年々、自分の価値だけ下がっていく気がして、「どうせ若い子に乗り換えられるんじゃ……」って思っちゃったり。そういう卑屈な気持ちにならないように気をつけるのも自分だから。

恋愛以外の評価や信頼で自尊心をキープしよう

――30代からの恋愛を考えるうえで、“自尊心”ってすごくキーワードになりそうですね。

鳥飼 女の人って、自尊心がすごくないんですよね。私も、自由で偉そうにしているように見えるけど、すぐにペコンってへこみます。かといって、男の人が自尊心にあふれているかと言ったら全然そんなことないと思うんですよ。

ずっと同じ会社で生きていくのも、いっぱい稼ぐのも、誰かを養うことも難しいから。お互い自尊心がない状態で、表面上でプライドを競り合っていて、全然中身を見合う機会がないんじゃないかなと思います。

――“好きだから許せてしまう”関係は理想ですが、まずは自分の中に確固たる自尊心がないと、“好きになっちゃったから何をされても許しちゃう”みたいな状態になってしまいませんか?

鳥飼 あるある、特に若いうちはそういう“好きになったもん負け”の状態になりがちですよね。そうならないように自尊心をキープするのも自分の努力だと思います。そのためには、パートナー以外の友人・知人との信頼関係をちゃんと築いておくことですね。

恋愛している最中は、相手の評価だけが気になって、「彼氏だけいればいい」みたいな状態になりがちだけど、それってすごく危険だから。その恋愛が破綻したときに「誰にも必要とされてない」「私なんか生きてる価値がない」とか思ってしまうんですよね。私がけっこうそういうタイプだからわかります。

だからこそ、恋愛と同時進行で、それとは別に自分のことを色恋抜きで信頼・評価してくれる友人・知人との人間関係をきちんとキープしておくと、自尊心は保たれると思います。

第4回「人は変わるんだと実感できるのが恋愛のおもしろさ」に続く

鳥飼茜
1981年、大阪府生まれ。2004年『別冊少女フレンドDXジュリエット』でデビュー。少女漫画誌を経て、現在は『BE・LOVE』(講談社)に『おんなのいえ』、『月刊モーニング・ツー』(講談社)に『先生の白い嘘』、『FEEL YOUNG』(祥伝社)に『地獄のガールフレンド』と、3誌に連載を抱えている。『おんなのいえ』は2014年に『このマンガがすごい オンナ編』で9位にランクインして注目を集めた。