女性は本能的に浮気しないの嘘

─生物学的に男性は浮気しても当たり前だというようなことが言われてきたなか、著書のなかで「浮気において男女に違いはないのかもしれない」と書かれていたのにとても共感しました。
女性は巣を守り子供を育てるから、浮気しないのが当たり前だというような話が広まりすぎていると思うのですが。

植島:本にも書いたんですけど、生物界では女性も男性と同じくらいたくさんの異性と交遊しているわけです。
おしどり夫婦と言われるほど、鳥類は一番相手に誠実だと言われてきたのに、巣の卵の遺伝子検査をしてみたら、夫ではないほかの異性のものがいっぱい見つかった。
昔は鳥の専門家たちでもなかなか不倫は見つけられなくて、最近遺伝子検査ができて初めてわかってきたことなんです。
最近また話題になっていますが、だいたい誰の子かなんて男には絶対わからない。
以前報道されていた調査では、夫婦間の子供の父親が異なる確率は10%ぐらいでしたね。

─そうでしたね。10人に1人も!
ということは、女性も不倫しているということですよね。

植島:男性は、たくさんの精子をまき散らして、たくさんの後継者を残していいといわれる。
一方、女性は、選別して素敵なオスを探しなさい、と教え込まれている。
だけど、それは昔の道徳の教科書みたいな話なんですよ。
実際にはそんなことはなくて、男女同じように、愛情に関してはとても豊かな感性をもっているということです。

─女性だけ一人の人を愛し続けるわけないですもんね。

植島:そうですね、やっとそういうことが言える世の中になりましたね。

─たしかに言いづらいです。男性が怒るんですかね。

植島:男性のほうが少し意識が遅れているからね。
これから、だんだんと女性にもそういう思いがあることが当たり前になっていくと思いますけどね。
60年代に雇均法(雇用機会均等法)ができたとき、「こんなものができたって穴だらけなんだから男女の間の溝は埋まらないよ!」といわれていました。
けれど、それから40年経って、確実に男女は、同じように働いたり同等な収入を持ったりして、やっぱり動きは変わってきたわけですから。
女は女だけ、男は男だけと思っていたこともなくなってきたし、時代とともに変化していくんです。

─そうですね。できれば早く変わってほしいです。
女性向けサイトで女性が奔放に性を楽しんでいるという記事を出すと、男性のネットユーザーから叩かれたりするので。
まだまだ保守的な男性はたくさんいるなと感じます。

植島:「女性には性欲がない」って、僕らが子供の頃は当たり前のように言われていましたが、今では女性のマスターベーションのあり方もきちんと言われるようになっていますものね。
男性といっても、まあ2ちゃんねるとかに投稿したりする場合は、ちょっと鬱屈した人が多いから、まともに取り合うとよくない気がしますけどね。
それに、男性の頭のなかはまだ50年くらい前のままだから、女だてらにって気持ちもあるんでしょうね。
口ではもう言えなくなっているけど、心のなかではまだみんな思っているんでしょうね。

【第二回 傷つかない不倫をするには?】につづきます。

Text/AM編集部

植島啓司
1947年東京都生まれ。宗教人類学者。東京大学卒業。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了後、シカゴ大学大学院に留学、M・エリアーデらのもとで研究を続ける。NYのニュースクール・フォー・ソーシャルリサーチ(人類学)客員教授、関西大学教授、人間総合科学大学教授などを歴任。40年以上世界各国で宗教人類学の調査を続けている。

植島啓司 官能小説

『官能教育』
著者:植島啓司
発行:幻冬舎

AMをiPhoneアプリで読みませんか?

お気に入りのライターや連載を登録すると、プッシュ通知でお知らせすることや、お気に入り記事を保存できるので、AM読者は必携です!
ダウンロードはこちらから。

Twitter、FacebookでAMのこぼれ話をチェック!