食卓さえ戦場と化す、恋愛ライフ! EAT or DIE!

 ここで大事なのは、自分のポジショニングを意識するということ。

 田中アナがソーセージをくわえこむと、テレビ的な「かわいい女子×あざといセックスアピール」でイヤミですが、それでも彼女は顔面偏差値が高いので、実際目の当たりにするとやっぱりグッとくる男性は多そうです。
飛び抜けて高い顔面偏差値は、あざとさを凌駕する。

 一方で、女性お笑い芸人がでかいソーセージを食べると、エロくなく、お笑いになる。
だけど、女性芸人のなかでも大久保佳代子さんがやると、笑える……けど、どこかエロい。
大久保さんの芸のすばらしさは、女を捨てているようで意外と上品、だから恥じらいのパフォーマンスが少し真実味を帯びていて乙女心を想起させる、結果としてエロスを感じさせるところだと思います。

 自分の顔面偏差値、キャラクター、狙い定める相手との相性や関係性、もっと細かいところだと見える角度次第で、「食べる」所作の効果が変わってきます。モテやエロテクの指南書をひもとくと大概、誰がやっても同様にエロい/かわいいとされる行為しか書かれておらず、それはつまり不特定多数へのアピールで身の程知らずのはしたなさにもなり得て、「誰でもいいんだ」と思われてしまう危険性もあります。

 自分の美意識に則ってかわいくしようとがんばってる女の子は、食べたいヤリたい出したいといった生理的欲求をなるべく男の子に見せたくないもの。エロスが生じるメカニズムは理想的な自己イメージからはずれた瞬間にこぼれ落ちる恥じらい……なあんて書くと仰々しいですが、単純に、ふだんみんなの前ではしない表情を女の子が見せてくれると、男はグッとくるものではないでしょうか。意中の男性が、自分以外の女性には言わないようなこと、やらないような行為をしてくれたとき、キュンとする、それと同じ。

 球体を吸い上げ、飲むタピオカミルクティー。
ドライフルーツとしてコンビニでも見かけるイチジクは性欲のシンボル。
あからさまに性器のモチーフとして使われるアワビをはじめとした貝類。
先述のクリームパイと同種のエクレアやシュークリームなど、乳白色のクリームを使った生菓子も気軽に手に入ります。
ビールでさえ、くちびるに残った泡を舌なめずることでセックスアピールに転じさせられることは、田中みな実アナが証明してみせました。使える! 食べ物に意味を込めればなんだって欲情の導火線として使えます!

 セックスアピールは捨てたくない、けどかわいいとも思われたい、そのうえアレも食べたいコレも飲みたい……。
自身の美意識と、食と性への欲望、周りからの視線といった、乙女心を取り囲む条件が食卓さえ熾烈な戦いの場に化します。巷にあふれる食べ物や飲み物、食事で使うくちびると舌と指を上手く利用して、サヴァイヴしたいものです。戦いから降りるのも手です。

Text/鈴木みのり

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