オカマには甘えられる女性

中村うさぎ AM インタビュー AM編集部

―そうですね。そういう存在を女性は欲しているところがありますね。

中村:女性が、オカマの人と友達になりやすくて、いい関係が作れるのは、甘えられるからなんですよ。
男に甘えない人もオカマには結構甘えられたりするので。

一方で私のほうが、そんな母性的な夫よりも10個年上だから、面倒みたり心配して“やったり”もして。
“やったり”だって……まあ、心配して“やったり”ですよ。
心の底から心配してなくても、心配しているふりをしたりね、それがうれしかったりするじゃない。
そこまで心配するほどのことじゃないと分かっていても、「大丈夫なの?」って言ってもらえたら、ちょっとうれしいよね。

自分が相手の母親になり、相手も自分の母親になってくれる。
そういう母親ごっこをやる感じで、恋愛相手と、あるいは結婚相手との関係性をつくるのはアリだと思うんですよね。

擬似親子関係を作ることができれば
本当にいいパートナーになれるかもしれない

―お互いにお互いの母親になるというのは、理想的ですね。
常に仕事のような人間関係だったらとても辛いので。

中村:だって、みんなどこかで息抜きしたいでしょ。
つまり甘えの効用は、本人のガス抜きになるってことですよね。
本人が安心してワガママを言えたり、素の自分を見せられたり、緊張しないで済む相手はやっぱり人生において最低一人は必要なんですよね。
子供のころはそれが親だったんだけど、ある時期から親は他人になってしまったり、死んじゃったりもするし、いつかはいなくなる。
だから親の代わりに、そういう擬似親子関係みたいなものを、お互いの共有意識のもとにつくりあげることができれば、それは本当にいいパートナーになれるかもしれない。
そうなった場合、それは、もう恋愛じゃなくなってるね(笑)。

恋愛結婚はもちろんいいと思う。
恋愛中からどんなお母さんになってもらえるのかという共有認識を確立していって、親役をお互いにできる関係を育てていけば、結婚した後に上手くパートナーになりやすいんじゃないかな。
結局みんなお母さんが欲しいんだよね。