人妻になった同級生に妄想が広がる主人公

 わたしは普通の女たちとは違うのだ。 わたしは光の中にいるべく女なのだ。
わたしはいつも、人々の視線を独占し続けているべき特別な存在なのだ。

 ごく幼い頃から、三浦加奈はそう思っていた。
彼女がどう思うようになった原因のひとつは、おそらくその容姿にあったのだろう。

 幼い頃から加奈は、数え切れないほど多くの人々に『可愛い』と言われて育った。
道を歩けば、何人もの人々が彼女をじっと見つめた。
年上の少女たちが自分のことを、『お人形さんみたい』と囁き合っている声も耳に入った。
(『愛されすぎた女』P9L17-P10L6)

  そんな恵まれた容姿を持って生まれた故、『自分は特別な人生を送れる』と信じている加奈
しかし、大学を卒業した後、芸能プロダクションに所属して芸能界での成功を夢見たものの、あっさりと敗れ、その後は派遣社員として大手製菓メーカーの事務員に。
遣り甲斐のない仕事や、古い木造アパートでの生活にうんざりしながらも「人生を一発逆転させるのは結婚しかない」と思い至り、唯一武器になる美を保つために、エステに美容室、ネイルサロンと浪費を繰り返して、気がつけば借金まみれの三十路女に。

 そんな、人生詰む一歩手前の加奈が、起死回生のチャンスとして選んだのは、金持ちの男だけが会員になれるという結婚相談所に登録することでした。

【後編へ続く】

Text/大泉りか

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