幸薄×色白×和風美人×人妻の主人公・優子から得る“そそる女”のヒント

 話を戻しましょう。さて、今回ご紹介する一冊は、連載第一回目に相応しい官能小説界の大御所作家、睦月影郎氏の作品。400冊超の著書の中から、今年の7月に刊行された『甘えないで』(詳伝社文庫)を選びました。

 8編の短編が収録されたこの本書と同タイトル作品『甘えないで』のヒロイン、優子から“清純”が、いかに男性を虜にするかを学びたいと思います。

 ヒロインの伊村優子は、六畳一間に狭いキッチン、バストイレだけのボロアパートに住む人妻。ろくに仕事にもつかないろくでなしの亭主がいるため、駅前のデパ地下の食料品売り場でパートをしている三十歳前後、子はなく色白で万事に控えめな和風美人
しかし、毎晩、亭主に殴る蹴るの暴力を振るわれた上で、蹂躙される日々を送っています。

 優子の家庭は、おそらく裕福ではないはずです。お嬢様育ちっぽいから実家から仕送りを受けているかもしれない、と書かれているものの、デパ地下のパート勤めでは、収入は、せいぜい月に15万~18万程度でしょうか。
ボロアパートといっても都内でバストイレつきならば5万はすると思います。
それでパチンコに通えば夜は酒を飲む亭主と住んでいるのだから、生活は相当に厳しいはず。そんな優子の服装はブラウスにスカート。下着もブラジャーとパンティーとあっさり描かれているだけということは、特段変わった色味やデザインのものではないのことが推測できます。
それでいて、ほんのりと匂い立つような、つつましく清楚な色気を持つ女性。“大人かわいい”ならぬ“大人清楚”という言葉が頭の中に思い浮かびます。

優子のようなつつましい色気を醸し出すために、おしゃれすぎず、派手すぎない服装をあえて選んでみるというのも手かもしれません。

このヒロインが濡れ場でどのような痴態を見せるかは後編でお楽しみください!

Text/大泉りか