好きです。その日の性欲を満たしてくれそうな相手として。

「ナンパ」と「童貞」はねじれの位置にあるものですから、僕にとってこの質問は「最強の悪魔の実は、武装色の覇気の攻撃もかわせるバラバラの実ですか？」と同じぐらいリアリティが無いんですが、頑張って答えます。

ナンパ師にも類型があります。社会学者の宮台真司が『宮台真司・愛のキャラバン』（2013年）で言うことには、最近、ナンパが自己啓発化しているらしいです。つまり、コミュ力を磨く（笑）とか、自分の殻を破る（笑）とかのための方法として、ナンパが用いられる。そのナンパの目的は、セックスしたり、ゲットした連絡先の数を競ったりですらなく、「ナンパができない自分」から「ナンパができる自分」への変身による自己肯定感の上昇にあるわけです。

質問は「ナンパする人って私のこと好きなのですか？」でした。自己啓発系ナンパ師が好きなのは、あなたではなく、自分自身だけなのです。さっむ。童貞より童貞くさいこの手の男には気をつけてください。夏にぴったりな怖い話でした。