見返りを求めるから苦しい

筆者も20代の頃、某ミュージカル俳優さんの追っかけ活動に身を投じていました。具体的な例を挙げると、『レ・ミゼラブル』の4ヶ月公演にS席で20回通う勢いです。帝国劇場のS席は、当時の価格で確か13500円でした。13500円×20回ですから、当時の筆者ったらレ・ミゼラブルに4ヶ月で27万円も費やしていたことになります。そしてモチロン、大阪などの地方公演にも新幹線代かけて足を運んでおりました。

だからといって、そのミュージカル俳優さんと密に接触できるような機会はありません。でも幸せだったんですよね。その根底には「私が好きなだけなのだから」という初期設定がありました。だからこそ見返りなんぞ求めていなかったのです。

20代に培った追っかけ活動のおかげで、自分自身の現実的な恋愛に関しても「見返りを求めない」という達観姿勢が確立したと自負しております。筆者周辺に存在する、様々なジャンルの追っかけ女性たちも、現実の恋愛に対する見返り期待値が一様に低いんですよね。低いと言っても、「期待しても無駄」というひねくれ根性によるものではございません。「私が好きなだけ」という、けっこう純愛に近い感覚です。

尚、見返りを求めないからといって、都合のいいセックス要員扱いされるかといったら、決してそうではなく! 女性側から「くれくれ」と求めずとも、ちゃんと与えてくれる男性も存在するんですよね。逆に、女性側がどれだけ求めても、一切与えてくれない男性も存在しますが……。

恋愛って、相手に対して「こうあってほしい」と見返りを求めるからこそ、その欲求が叶わないと苦しくなるのだと思います。自分はこんなにも愛しているのに、なぜ同じ熱量で返してくれないのだ……ってやつですよ。

日本は単一民族国家ですから、「相手も自分と同じ価値観に決まっている!」と勘違いしやすいのかもしれませんね。肌の色も瞳の色も髪の毛の色も同じなので、「私と同じだよね、恋愛の価値観も」という思い込みが強くなるのでしょう。オトコとオンナは毎日LINEするものだとか、毎週末会う時間を作るものだとか、セックス時は愛情表現の言葉を囁くものだとか……。My価値観と同じだよね、という勘違いです。そこにズレが生じると、苦しくなります。

多民族国家であれば、肌の色も瞳の色も髪の毛の色も十人十色ですから、「相手と自分は違って当たり前」という感覚が備わっているはず。以上を踏まえ結論! 見返りを求めることで現状の恋愛にもがき苦しんでいる人は、多民族国家に移住すると、人間は同じじゃないことが実感できるでしょう。

移住が難しい人は! 何らかの追っかけ活動に身を投じると、見返りを求めない姿勢がカスタマイズされますよ。但し、売れないバンドマンとか売れないお笑い芸人など、ファンとの距離感が近い方々は対象外です。カキタレって言葉もあるくらいですから、見返りを得ることも可能なので。ジャニーズや韓流や人気男優さんのように、手の届かない方々を追っかけましょう。

次回は<大晦日の紅白を見て考える「男のトリセツ」があったとしたら>です。
紅白でも何度か歌われた西野カナの「トリセツ」。女心を代弁したこの歌は多くの女性から支持されています。今回は菊池美佳子さんが「トリセツ」の男性バージョンを考えてくれました。もし本当に発売されたら間違いなく炎上する歌詞は必見です。