症状と可能性がある疾患

 さて、話を性交痛に戻しますね。

 「膣の入り口がズキズキ痛む」
「奥まで突かれると生理痛に似た鈍痛がある」
「膣壁が擦れるのが痛痒い」
「セックス後に出血がある」
など痛みを感じる部位と痛みの種類は人それぞれ異なります。
これから紹介するのは、一般的に言われている性交痛の部位と関連性のある疾患です。
参考にしてもらいつつ、自己判断は禁物ですので、気になる症状があれば、速やかにクリニックで診察してもらいましょう。

症状:膣の入り口付近の性交痛
可能性がある疾患:膣炎や外陰部の炎症

 下にあげたことに心当たりがある人は、性感染症のリスクのあるセックスをしています。
性交痛だけでなく、一度パートナーとsafe sexについても見直す必要がありそうです。すみやかに受診を。

・コンドームを使用しないカップル
・パートナーが風俗通いや浮気で無防備なセックスをしている疑惑がある
・おりものの色やニオイが気になる
・デリケートゾーンのかゆみ、ブツブツ、排尿痛がある

症状:膣の入り口付近に激痛を伴う性交痛
可能性がある疾患:処女膜強靭症

 痛みが強くて挿入ができないケースや激しい痛みと出血を伴う場合は、生まれつき処女膜が分厚く硬い処女膜強靭症の可能性があります。こちらは15分くらいの手術で治るそう。こわがらずに受診してみてください。

症状:挿入中の痛み
可能性がある疾患:ラテックスアレルギー

 天然ゴム(ラテックス)のコンドームでラテックスアレルギー反応を起こしてしまうこともあります。
その場合は、薄さをウリにしているポリウレタン製のコンドームや柔らかさを重視した人工ラバーのコンドームに切り替えて様子を見て。

症状:膣の奥の性交痛
可能性がある疾患:子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣のう腫など

 速やかに婦人科の診察を受けることをおすすめします。

 不調がある時は、正直にパートナーに申し出て、セックスはお休みしましょう。
「雰囲気を壊したくない」「彼に求められたら応じてしまう」と無理してセックスしている女性も少なくないはず。
それに加えて、セックスのことは、彼には内緒で、自分だけで解決しようと抱え込んでしまいがちです。
「痛いのが治らないから、お医者さんで診てもらってくる」
その一言で、彼にも事の重大さに気づいてもらえるでしょう。

 取り立てて不調がなくても、私は、年に一回、誕生日月に、バースデー検診を心がけています。
性に関わることを通して、心身の健全化を目標とする「セクシャル・ウェルネス(性の健康)」が提唱されていますが、これからはもっと、健康面からも性生活や性機能を重要視する時代がやってくると思います。
このコラムを機に、婦人科に行き、疾患の早期発見と治療ができる女性が一人でも増えたら、笑い抜きで真面目に書いた甲斐があります。

 もちろん、今回紹介した症状と違っても、痛みが治まらない場合はクリニックへ。

つづく。

Text/OLIVIA

次回は <本当にセックスが好きですか?性の研究家が開発した「感覚集中訓練」を大公開!>です。
性交痛について考えるシリーズ最終回の今回は、「メンタルの問題」について!自分の、パートナーとのセックス観、いま一度考えてみてはいかがでしょう。 周りの空気に流され、自分でも見逃してたり明確に意識してこなかったモヤモヤが、意外と浮かび上がってくるかもしれません。