すべての女性と楽しくワイ談する日を夢見て……

 そしてもう一つ印象的だったのは、牧野さんを始めとするシルクラボのスタッフが「一般女性のエロに対する感覚」をとても大事にしていたこと。
本編でも触れましたが、私はAVやオナニーの話に対してはかなりユルい人間。日常会話の中にも放送禁止用語がバンバンでてきちゃうタイプです。
しかも「自分は普通だ」と思っているから始末が悪い……!

 なので、牧野さんの

「AVメーカーの中の人って普通の女性よりはエロに慣れてるじゃないですか。だからそのへんを間違わないよう、アンケートを参考にしたりして少しずつ調整していきました。」

という姿勢には頭が下がるばかりでした。この姿勢こそがシルクラボが女性向けAVメーカーとして成功した一番の要因なのではないかと思います。

 そういえば、以前20代女子と飲み会をしていて、驚いたことがあります。
彼女は性に奔放な女の子で、合コンの流れで女友達と4Pした話を面白おかしく話してくれました。でもそのすぐ後に、本当に恥ずかしそうにこう言ったんです。

「このあいだ部屋に隠してたAV、彼氏に見られて凄く恥ずかしかった~」

「4PしたことよりもAV観てることのほうが恥ずかしいのか!」と心底びっくりしたんですが、今回のインタビューで牧野さんの話を聞いてようやく腑に落ちました。
一般女子にとって「AVを観てる」と思われることは、私が思っているよりずっとずっと知られたくないことなのかもしれない。そんなことに改めて気づかされたんですよね。

 そうやって考えると、女性が胸を張って「AV観てます」と言える世の中は、案外遠いのかもしれません。
でも、今の若者文化のめまぐるしい変わりようを観ると、あと5年。いや10年経ったら……と期待してしまうのも事実。
一大ブームは来ないと思うけど、その日のために粛々と女性向けAVを作り続けるという牧野さん。その姿にちょっと感動しつつ、すべての女性と楽しくワイ談できる日を願ってやまない私なのでした。

Text/遠藤遊佐

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