ちょっとでも気になるならデートに誘ってしまえばいい
別に結婚をしようとプロポーズをするわけではない。
コーヒー屋さんで30分ほど雑談を楽しむだけだ。

 ローリスク・アンド・ローコストである。
そこで意気投合して友達になってもいいし、下心があるならセックスだってありえる。
そこから恋が芽生える可能性もあるし、それっきりもう二度と会わないこともある。

 フラれたならフラれたでいい。
思い通りにならなくても、デートに誘っておけばよかったと後で後悔するより遥かにマシである。
デートに誘う前からつい逃げ道ばかり探してしまう自分だが、そう考えることで気楽に気になる相手をコーヒーに誘えるようになった。

 同じ理屈で友達を説得して、軽く背中を押してあげた。
美味しそうなオードブルをたくさん乗せた小皿とグラスいっぱいの赤ワインを両手に装備して、友達は威勢良く出撃した。
キッチンに残った自分はフラれて帰ってくる友達を慰めてあげようとお茶でも入れることにした。
お湯が沸いた頃、友達は微妙な面持ちで帰還してきた。何があったのかまったく読めない。
小皿の上のオードブルも赤ワインも空っぽになっていた。

「明日、みんなでコーヒーを飲みに行くことになった」

 デートに誘うつもりのはずが、どこかで勘違いが生じたようで、みんなで遊びに行こうという方向に話が盛り上がってしまったらしい。
その気がなくて受け流されたのかもしれないが、ただ単に相手が好意に鈍感な天然ボーイだった可能性もある。

 もしかしたら、コーヒーを飲みに行こうという誘い方がカジュアルすぎてデートの誘いに聞こえなかったのかもしれない。
何はともあれ、デートに誘わないよりは素敵な結果である。
淹れたてのお茶を飲みながら、次こそは本気でデートに誘ってやると友達は燃えていた。グッドラック!

Text/キャシー

次回は <片思いの彼と二人目のパートナー>です。
次回は「片想い」について。切なく甘酸っぱい片想いではなく、ちょっとの勇気が必要になる片想い…普通の型に囚われない恋愛とは一体…?