「タチとタチ、ネコとネコの組み合わせのゲイカップルってどうするんだろう?」こんな何気ない話題を耳にしたことがある人は少なくないだろう。
どっちかが頑張ってタチかネコになるべきとか、双頭ディルドで一石二鳥ならぬ一石二ゲイとか、勝手な議論が繰り広げられているところを耳にすると、ついつい口を出してしまう。
「タチとかネコとか忘れて、人間と人間として絡み合えばいいじゃん!」そして、決まってこう言い返されてしまう。

「それって綺麗事じゃない?」

 アナルセックスは気持ちいいし、前立腺を刺激されることで得られる快感は並大抵ではない。
しかし、通るべきコースや決められたゴールがあることで、セックスの解釈を偏ってしまうのが問題なのだ。
寄り道や回り道は好きなだけするべきだし、ゴールなんて無視して行きたいところに行けばいい。
前戯とか本番とか、そんな風に境界線を引く意味なんかない。
セックスは挿入でしかないと考えている人がいれば、快感や刺激を得る可能性は無限大だと気付いてほしい。

 舌と舌が絡み合うキス。
相手をぎゅっと抱きしめた感触。
電話でのいやらしいやりとり。
お尻を豪快にスパンキングされる衝撃。
過激なSMプレイで縛られて自由を奪われた感覚。

 これらが挿入とオーガズムに比べて中途半端かどうかなんて、他人に決められる筋合いはない。
自分がそれをセックスだと思えば、それは立派なセックスだ。そこに本物も偽物もない。
どうあるべきとか、そんなこと気にしなくたっていい。もっと自由に楽しもう。

「手と手を握るのも、場合によってはセックスだよね!」

 いつか、友人にそんなことをボソッと言ったらそれ以来手を握ってくれなくなったが、これはまた別の機会に話そう。

Text/キャシー