別にセックスが嫌いだったというわけではない。タイプの男性を見れば目で追いかけたし、講義中は頭の中でいやらしい妄想を繰り広げた。
実際にセックスを探す暇がなかったのだ。イベントに行って目当ての人をデートに誘ったり、ネットでセフレを延々と探す作業は意外と時間がかかる。タイプの人が目の前に現れて「やらないか?」と誘ってきたら、もちろん二つ返事で飛び乗ったが、人生そんなに甘くはない。

 自分からしたら、セックスレスでもまったく問題はなかった。ただ、周りからそれを疑問視される度に少しイライラした。

 セックスはいつからしなきゃいけないものになったんだろう。
彼氏と一緒に映画を見ていると、こんなシーンをよく見る。

「もう三週間もヤってないの!私たちの愛は燃え尽きたのかな?」

 ポップコーンぽりぽり食べながら、それを見てる私たちはもう三ヶ月ヤってない。冷や汗が滴る瞬間だ。それまで全然問題視してなかったのに、急に不安になる。圧力を感じて、「今週末はやっておくべきかな?」とか頭の中で計画までしてしまう。

 そこで一度冷静に戻って、自分たちを振り返る。愛は燃え尽きていないし、別に深刻な問題があるわけでもない。ただ単にセックスをしなかった。それだけのこと。
むしろ、恋愛やセックスをすることを前提としている方がおかしいのだ。