セックスでは埋まらない穴と空しい後味

 LGBTのためのコミュニティサイト「2CHOPO」の記事をAMでご紹介させて頂けることになりました!
今回は、キャシーさんの「セックス・アンド・ザ・キャシー」の記事です。

 大塚愛の『さくらんぼ』が大ヒットしていた頃、チェリーボーイだった自分は脱バージンに向けて動き出した。
当時はまだ大学に入ったばかりで、もう子供とは呼べない年齢になったものの、想像していた“大人”とは遠くかけ離れていた。

 残暑でムシムシしていた9月、冷や汗だらだらかきながら横浜駅西口でネットで知り合った男性を待った。心臓が今にも破裂しそうだった。
相手の顔は知らなかった。携帯電話にカメラが必ずあった時代ではなかったから、顔写真なしで出会うのがフツーだった。そんな緊張感に混じって、何かに期待をしていた。

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キャシー


 小学校の頃から自分が周りと違うと気付いていた。
思春期が始まる頃には、それが否定しようのないものになった。「童貞のまま二十歳になったら、ヤラハタだぞ!」と、友達からの圧力も日に日に増していた。浅はかだとわかっていたが、こうやって男性とセックスをすることで、何か大事な答えが見えるんじゃないかと思っていた。

 そうこうしていると、手に握った携帯が震えだして着メロが聞こえた。
「あいしあうー、ふたりー…」電話を取ると、すぐに目の前に立っていたサラリーマンが相手だとわかった。30代後半で中肉中背、どこにでもいそうな人だった。別にタイプではなかったが、そんなことはどうでもよかった。
「とりあえず、やるだけやろう!」そう覚悟を決めて、一歩前に進んだ。

 がたんごとん。1時間後、電車に揺られながらボーっとしていた自分がいた。
「やったぞ!」という達成感を少しだけでも感じようとしたが、自分は騙せなかった。

 その男性はことが終わると、そそくさと歩き去った。メールで事前に話し合った通りのセックスだった。それ以上でも、それ以下でもない。
それなのに、どうしてこんなに空しさを感じるのか。いったい何に期待していたんだろう。このセックスをすることで、自分が抱えている問題が全部キレイさっぱりなくなるとでも思っていたのかもしれない。
冷たい現実を今更突きつけられて、頭の中が真っ白になった。