“お年頃になって経験なしは恥”な風潮

 17年前は、今とは時代が全然違いました。最近は、処女女性がヒロインの、『きょうは会社休みます。』のような漫画・ドラマにも代表されるように、処女という事実がオープンに語られる時代です。現代人の生き方が多様化し、恋愛やセックス以外に価値を見出す人が増えている証しでしょう。

 対して17年前は、「オトコもオンナも、お年頃になったら恋愛・セックスをするもの!」という、視野の狭い時代だったと記憶しております。逆から言うと、「お年頃になって、恋愛・セックスをしていないのは恥ずかしい」となります。
二十歳という「超・お年頃」であるにも関わらず、恋愛経験もセックス経験もなかった筆者は、その事実を何が何でも隠し通さねばという思いから、処女とは真逆のキャラクターである、ヤリマンを演じる運びとなったのです。

 女子会(当時は、女子会などという言葉はありませんでしたが)では、見たことも触ったことも舐めたことも挿れたこともない陰茎について、本で調べた知識を駆使して饒舌に語っておりました。
「男性経験はまだ2人だけ」と頬を赤らめる女友達に対して、「まぁ、純情なのね。私なんぞ……」と、先輩風を吹かせることもありました。処女の筆者にとって、2本の陰茎を知る彼女のほうがよっぽど先輩なのに……。あの時は偉そうなこと言ってごめんよと、今からお詫び行脚に出たいくらいです。

 筆者のヤリマン演技に気付く者は、誰一人とていませんでした。これは筆者に限らず、オンナとは嘘の上手い生き物ですからね。そして、処女だった筆者に、すっかりヤリマンキャラが定着した21歳の秋……いよいよ筆者は処女卒業に至ります。

  「これでようやく、今までの嘘と帳尻を合わせられる!」

 この思いが、筆者のセックス活動をぐいぐい促進させました。そしてあっという間に、本物のヤリマンになってしまったのです。「嘘から出た実」とは、まさにこのこと!