本宮さんの打ち明け話

というのも、胸がAカップとBカップの間で小さいため、毎度新しい男とセックスをする際に落胆されるというのだ。そういった女性は僕も過去に会ってきたが、最初の射精の段階で上半身に衣服を着ける女性というのは初めてだった。

「私にとってはね。相手を射精させる能力がある人間と認めてもらうことからやっとセックスが始まるの」

そう彼女は言った。だから、一度、胸を見せることなく射精をさせ、後は自身の性技と相手の男との相性で一晩に3回~5回のセックスを普通にすることにしたのだという。自分に性的魅力があることを示すには体型ではなく技である、ということを常に悩み続けていたというのだ。一度射精をさせれば自信が持てるからまずは舌技でイカせ、あとはひたすら自身の性技を披露し続けるのだとか。

僕は本宮さんに対し「いや、別に胸の大きさなんて気にしませんよ」と他の女性にも言ったことを伝えたのだが、彼女はそれでも自信がなかったのだろう。アソコを僕の鼻や口に押し付けてきたり、「黙ってて」と言い、自分だけがディープキスをするなど「過剰」ともいえるサービス(といっていいのかはわからないが)をしてきた。

この日は4回セックスをしたのだが、いずれも素晴らしい体験だった。結局彼女の部屋で朝の4時まで寝て、自分の部屋に戻り風呂に入ったため、翌日の仕事は無事に行けた。

というのも、上司から我々は「お前らは明日は重労働だから早く寝ろ」と言われていたから、ノック音にも出ないでいいし、携帯の電源も切っておけばいい。「耳栓を着けて寝ます」と我々は口裏を合わせていた。だから、仮に「おい、今からお前らも合流しろ」などと言われてもスルーできたのだ。

本宮さんとの経験を経て僕は「出張っていいな」とつくづく思ったのだ。

Text/中川淳一郎