Kさんの言葉

打合せの後、帰宅。明日の予定を伝えるために、族長とKさんに電話をかけた。

族長からは「親戚には病死と伝えておく。お前も父親が自殺したことは隠しておきたいやろ」と言われ「だからそれは自殺者に対する冒涜ですよ。私はいずれコラムに書いて世界中に発表するつもりだし、つかお前って呼ぶな?」と言いたかったが、面倒なので「はあ」と返した。

Kさんも「周りには病気で亡くなったと伝えます。社長も他の人間には知られたくないと思いますから」と言っていた。

この人も自殺を恥ずべきこと、敗北のように考えているのだろうか。それって自殺した人に失礼だし、死者に鞭打つ発想じゃないか。人が命をかけて決めた選択を、他人があれこれジャッジメントするべきじゃないだろう。

と思ったが、いい加減眠いので「ふぁい」と返した。Kさんは涙声になって「本当の社長は誰よりも強い男でしたから…」と続けた。

だから、そういうとこやぞ。周りに強い男と思われたくて、あのおっさんは弱音を吐けなかったんやぞ。
そう思うと、なんだか父が可哀想で悲しくなった。明日は父の遺体に「お疲れ様、死ぬほどの苦しみから解放されてよかったね」と言って見送ろう。

Kさんは「昔の仕事仲間に声をかけたら、斎場いっぱい集まりますよ。みんな社長に育ててもらったので」「僕らにとって父親のような存在でした」と話し続けて、私は半分寝ながら聞いていた。
「社長は面倒見のいい人で…自分が苦しい時でも、周りにお金を貸してましたから」

娘から金借りて他人に貸しとったんかーーーい!!!

もう喜怒哀楽がアレすぎて、自律神経がヤバい。命の母ホワイトをください!効くか知らんけど。

父は面倒見がいいんじゃなく、単なるカッコつけのナルシストだ。本性はモラ山ハラ男でサイコ田パス太郎だ。
それでも泣いてるKさんに「血がつながってなくて良かったですね!本物の父親だったら搾取されてましたよ」とかひどいこと言わなかったので、おりこうさんである。

その後、昼寝していたら、近所に住む義母がごはんを作りに来てくれた。さっきのKさんの話をすると

「別れたダンナ(夫の父親)もそうやったわ~。生活費は入れないくせに、外ではバンバン奢って。外では陽気で楽しくて、面倒見がいいのよ。でも家では不機嫌で怒鳴り散らして、子どもの面倒なんて一切みなかった」 「ほんとクソですね」 「ほんとクソよ、男はもうこりごり。私はユノとチャンミンがいればいい」

義母は東方神起のファンなのである。昨日の韓流デカに会わせてあげたいが、もう一回警察署に行くには犯罪をするか亀を拾うしかない。

義母のごはんを食べながら、明日のことを考えた。
喪主といっても特にやることはないけど、焼香もトップバッターで前の人のマネもできないし、ちゃんとできるかな。

私は「見た目は大人、中身は子ども」の逆コナンくんなので、神妙な場が苦手なのだ。母の葬儀の時も火葬場で「焼き上がりはいつですか?」と聞くなど、持ち前の不謹慎さを発揮していた。

まあ餅は餅屋、葬儀は葬儀屋。クレリさんに任せておけば大丈夫、葬儀はつつがなく進行するだろう。
…と思っていたが、やっぱり事件は起こった。

――次回「毒親の送り方④ 葬儀には忘れずに☆」お楽しみに!

次回は <毒親の送り方④ 葬儀には忘れずに☆>です。
絶縁していた毒親の父が、突然自殺で亡くなった。ショックでふさぎこんだ弟とはようやく連絡がとれ、アルテイシアさんがセッティングした葬儀が始まりましたが、まだトラブルは続くようで……。

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