良妻賢母の呪い

アル

「お互いの期待がマッチしてるか」を確認するのも大事だよね。
たとえば相手は「家事育児は妻がメインで」と望んでいて、自分は「分担したい」と望んでいたら、うまくいかない。そこで「結婚したら相手が変わってくれるかも」と勝手に期待するのはヤバい。 

みみこ

「自分が頑張れば何とかなる」という期待もヤバいですよね。頑張ってる時点で無理があるし、頑張らなくて幸せじゃないと続かないと思います。

アル

水谷さるころさんも『結婚さえできればいいと思っていたけど』の中で「自分さえ頑張れば幸せになれると思っていたけど、破たんした』と描いていたわ。あの本は全婚活女子に読んでほしい。

 結婚は単なる箱で、中身は50年の共同生活だから。「箱を開けたらウンコみっしり」にならないためにも、お互いの期待がズレてないか確認するべき。個人的には、結婚前のお試し同棲もおすすめ。

みみこ

そしたら箱の中身をチェックできますよね。私も「家事育児は女の仕事」みたいな夫だったら結婚してないです。

アル

ただ、自分の勝手な思い込みもあるよね。この私ですら、新婚当初は「晩ごはんぐらいは作らなきゃ」と勝手にプレッシャーを感じてた。

夫に「俺の晩ごはんなんか気にしなくていい」「仕事を優先してほしい」と百回ぐらい言われて、自縄自縛が解けたというか。相手は望んでないのに「いい奥さんにならなきゃ」みたいな良妻賢母の呪いがあることに気づいた。

みみこ

良妻賢母の呪いに囚われてる女性は多いと思います。「それを求めない男も石の裏に潜んでいるよ」と言いたいですね。

 私自身もほぼ専業主婦みたいな状態なので「せめて家のことはきっちりやらないと」という自縛がありました。でも体調が悪い時に「ごめん、朝ごはん作れなかったわ」と夫に言ったら「優先順位を間違えないでほしい。僕が望んでるのは、体調悪いのに朝ごはんを作ってくれることじゃなく、あなたが元気でいてくれることだ」と言われて。

アル

お~さすがダライラマ夫だし、ちゃんと言葉で伝えてくれるのが素晴らしい。

みみこ

私はADHDで外で働けないことに引け目を感じてたんですね。でも夫に「あなたは僕より家事が得意で、家の中を整えてくれてる、だから引け目を感じる必要はないよ」と言われて救われました。

アル

「それでいいのだ」の精神だよね。私も昭和のJJだから疑ってたのよ。「ほんとはごはん作ってほしいんじゃないの?」って。でも夫は本気で、私が機嫌良くいることが一番の望みらしい。

みみこ

うちの夫もどうやら私が健康でいれば、それが一番みたいです。信じがたいことに(笑)

アル

「どうせ男は」って洗脳されてるやん、ツイッターとか見てると特に(笑)

みみこ

あははは(笑)。「どうせ男は」ってなりますよね。
私はミサンドリー(男嫌い)だったけど、夫は超フラットに話が通じるので「私が憎んでいた男とは??」ってなりました。

アル

みみこちゃんの夫は「どっちの名字にする?」と普通に聞いてきたんだよね。

みみこ

「こんなこと普通に言える男いるのか?!」と驚きました。

アル

うちの夫の良いところは「俺は男だから、女性の感覚を完全に理解することはできない」とちゃんと認めていること。わかってるつもりの奴がムカつくやん。

みみこ

ムカつく(笑)!わかってるつもりで、女の味方ヅラしてる奴。

アル

この国でオギャーと生まれた瞬間から「男」「女」として育ってきた人間が、全く同じ感覚をもつのは無理だと思う。だから私は面倒くさくても、ちゃんと説明するようにしてる。

 夫婦別姓の話でも「私個人は旧姓にこだわりはないけど、当然男の名字にするよね?という感覚がイヤだし、改姓の面倒を女に押しつけてる自覚がないのもイヤなのだ」とか。そしたら夫は「なるほどな」と理解するし、まずは自分の家庭からジェンダーの溝を埋めたいと思ってる。

みみこ

私も夫とそういう話をするんですけど「お互い性別も違うし、育った環境も違うし、考え方が違って当然」という前提で議論しますね。「自分と相手は違う人間」という認識があれば、無駄な軋轢が生まれにくいと思います。

アル

言葉で説明せずに「わかってくれない!」と怒るのは理不尽だよね。それに「自分と全く同じ考えになれ」と押しつけるのは毒親やモラ夫と同じだから、そうならないよう注意してる。

みみこ

私も毒親に苦しんだからこそ「自分は絶対同じことしたくない」という思いは強いです。