とれたての我が子宮と対面!

 そして次の瞬間、バチッと目が覚めた。

「手術終わりましたよ、意識はどうですか?」と聞かれて、第一声は「ハッキリしてます、今からセンター試験も受けられます」だった。

ちなみに夫いわく、カッパ先生から「奥さん、共通一次も受けられるそうですよ(笑)」と言われたらしく、スーパードクターKは共通一次世代のようだ。

手術前、私は「とった子宮を見たいし触りたい」と頼んでいて、先生に「わかりました、ただ麻酔でボーッとしてる人も多いので、意識があれば」と言われていた。術後の私はメガシャキ状態だったので、念願の我が子宮との対面を果たせた。

第一印象は「でけぇ」だった。

通常の子宮は鶏卵大だが、我が子宮は小児頭大まで育っていた(通常は100グラム程度だが、我が子宮は850グラムあった)

見た目は「産地直送!宮崎地鶏」という感じで、手で触ってみると固かった。その瞬間も「今までありがとう、ご苦労さま…」みたいな感傷はなく「ほう、手触りはハムですね、お中元お歳暮にイケそう」と感想を述べていた。

その後、病室に戻ると夫が待っていた。

前回書いたように、夫もとれたての我が子宮と対面していた。その時に撮影してくれた画像を見ながら「どう思った?」と聞くと「R・TYPEの一面のボスみたいだった」との感想。

「R・TYPEってなんや」「こんな有名なゲームを知らないなんて大丈夫?」と、いつも通りの会話をかわす。

この時はまだ手術の麻酔が効いていて、余裕だったのだ。

そこから、地獄のデスロードが始まる。

胆嚢の摘出手術をした女友達は「手術が終わってから翌朝まで眠り続けた」と言っていたが、私は術後からメガシャキで、そこからほぼ一睡もできなかった。

術後の感想を一言でいうと「とてもつらい」

三国志の霊帝の気持ちがよくわかる。つらすぎて、ひねったこととか言えないのだ。

VIO脱毛はゴムパッチンのような罰ゲーム的な痛みだが、手術後の痛みは全身に矢が刺さった落ち武者的な痛みで、とにかくどこもかしこも痛い。

切った傷も痛いし、腹の中も痛いし、手術中に管を入れた喉も痛いし、予想外の伏兵として、尿道がメッチャ痛い。尿管カテーテルが痛すぎて「尿道オナニーとかするやつ頭おかしいだろ」と思った。

輪をかけて最&悪だったのが、拘束だった。

左腕は点滴につながれて、両足に血栓予防マシーンをはめられて、身動きがとれない。

私は飛行機も長時間乗るのはつらく、自由に動けないのが苦痛なので「拘束プレイ好きのドMの人は平気なのか?」と考えながら、泣いていた。

痛み止めも座薬も眠剤も追加してもらったが、「効かぬのだ…」と泣いていた。憔悴しきった、ぼろぼろなラオウ。それはもうラオウぢゃないぢゃないか。

とダジャレをかます余裕もなく、泣いていた。眠れないし動けないし、泣くぐらいしかすることがなかったのだ。

私がぴいぴい泣いていた一方、「私はそこまで痛くなかったよ!」と語る経験者もいる。

痛みの感じ方は個人差がとても大きい。痛みに強い女友達は、VIO脱毛で麻酔クリームを断り、眉ひとつ動かさなかったら「あなたなら体中のどこでも脱毛できます!」と太鼓判を押されたという。

痛みに弱い私は、手術の翌朝、真っ白な灰になっていた。だがトイレに歩いて行けたらカテーテルを抜いてもらえるので、弁慶の大往生のように気合いで立つ。そして看護師さんに支えられてヨロヨロとトイレに辿りつき、カテーテルを抜いてもらえた。

その瞬間「俺の尿道は自由だ……」とベッドに倒れ込み、丸一日、ほぼ寝たきりで過ごした。

かたや川崎貴子先輩の「女社長の乳がん日記」を読むと、手術の翌朝、すぐにノートパソコンを開いて仕事している。

バケモノか。

もちろん手術の種類は違うが、強すぎる。川崎さんと私では、モビルスーツと原付ぐらい強度に差がある。やっぱり私は女社長にはなれない。