bot返しと明菜返し

明菜(通常盤)

 一番シンプルなのは「○○さんはそういう考えなんですねbot」と化すことだろう。

「結婚した方がいいぞ~」
「へ~○○さんはそういう考えなんですね」
「ずっと1人でいるのは寂しいだろう」
「へ~○○さんはそういう考えなんですか」

  bot相手だと先方もからみづらいし、「○○さんはそういう考えなんですね、私とは考えが違いますね」と返せば、それ以上話を続けようがない。うまくいけば「自分と相手は違う人間なんだから、考え方も違って当然」と先方に気づかせることもできる。

  とはいえ、価値観を押しつける人間は「自分の考えが正しい」と多様性を認めないものだし、「自分の考えに同調しろ」と圧をかけてくるものだ。

  bot返しで撃退できない相手には「明菜返し」を試してみよう。

「結婚した方がいいぞ~」に対して「うちは家庭が複雑で、結婚にあまり良いイメージがなくて…」と返す。この時のポイントは、小声&伏し目がちだ。ベストテンの中森明菜をイメージして、と言われてもわからないお嬢さんは、友近のモノマネを参考にしてほしい。

 小声&伏し目がちで、シンプルに「親がアレで…」と返してもいい。相手は「アレってどれ?」とモヤモヤしながら、それ以上は踏み込んでこないだろう。

 明菜返しによって「この人に結婚の話題は地雷だ」と思わせれば、今後の被害も抑止できる。
さらに相手が「なんか悪いこと言っちゃったな」と反省して「人には事情があるんだから、プライバシーに踏み込むべきじゃない」と学べば、他人への被害の拡大も防げる。

 ちなみに私は、家族に関する話の時に使ってきた。
「ずっと実家に帰ってないの?親がかわいそう」と言われたら「父は子どもに多額の借金を背負わせ、母はアル中で浴びるほど酒を飲み…」と話すと「ご、ごめん」と相手に謝らせることが可能だ。

 大抵はこれで撃退できたが、20代前半、広告会社で働いていた時のこと。取引先のおじさんと飲みにいった際に明菜返しをしたら「それ以上、話さなくていい」とキスされた。

 一点の曇りもないセクハラに「こいつの口に生コンを流し込みてえ!!!」と怒髪天をついたが、我慢した。「私がキレたせいで会社の取引がなくなったら困る」と考えたからだ。上司に「若い女は営業に向いてない」「異動させた方がいいんじゃないか」と思われるのもイヤだった。

「セクハラされたら訴えればいい」と言うのは簡単だが、実行するのはものすごく難しい。訴えればいいと軽々しく言う人は「今、自分が顧客を訴えたとしたら?」とリアルに想像してほしい。リスクや失うものの大きさがわかるだろう。

 一方、現在の私は何のしがらみもないフリーランスの物書きである。そのオッサンに復讐もできるし、生コン流し込み放題だ。立場なんていくらでも変わるという事実に、老害たちは気づくべきだろう。